ロシア当局、ウクライナ侵攻批判の政治家ロイズマンを拘束「ロシア軍の名誉を毀損」
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ロシア当局は政府に対する批判で知られ、エカテリンブルク市長を務めたエフゲニー・ロイズマン氏を拘束した。タス通信が報じた。写真は拘束時のようす。 euronews / YouTube
ロシア当局は、政府に対する批判で知られるエカテリンブルク元市長、エフゲニー・ロイズマン氏を拘束した。タス通信が24日報じた。ロイズマン氏はロシアのウクライナ侵攻にも反対している。
タス通信はエカテリンブルク市治安当局の発表として、同氏が「ロシア軍に対する名誉毀損(きそん)」の疑いで捜査を受けていると伝えた。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、ロイズマン氏が自宅で拘束され、迷彩服姿の男たちに連行される様子が映されている。この動画の中でロイズマン氏は記者団に対し「『ウクライナ侵攻』という一言」のために逮捕されたと語った。
国営のロシア通信(RIA)が公表した動画によると、ロイズマン氏は連行される際「戦争を戦争と呼んだ。それだけのことだ」と述べた。
ロイズマン氏は、収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対する明確な支持を表明。プーチン氏が2012年に大統領に返り咲いたことを受けた野党への支持の高まりを背景に、13年に第4の都市エカテリンブルク市の市長に選出されたが、18年に辞任。ロイズマン氏は自身に対する政治的な事情が背景にあったとしていた。
ロシアはウクライナ侵攻を自国の安全保障確保のための「特別軍事作戦」としており、侵攻を戦争と表現したりロシアの行動を批判したりした人物を多数捜査している。人権弁護士のパーベル・チコフ氏によると、ロシア軍に対する名誉毀損で国内裁判所はこれまでに約3500件を扱っており、ほぼ全てで有罪判決が下されている。
