南アフリカで進む個人の太陽光発電導入 停電多発で富裕層が導入
太陽光パネルとバッテリーの価格が下がってきたのに加え、1メガワット以上の設備導入に政府の承認を義務付けていた規制が昨年緩和されたことが、需要拡大につながった。
余剰電力の売却に遅れ
しかし小規模な太陽光発電設備の導入を広げる上で、南アには大きな課題が残っている。
グランビル・エナジー本社の大規模スクリーンには、顧客の太陽光発電システムの発電量がリアルタイムで表示されている。ある家庭の場合、バッテリーはフル充電で、発電能力の20%しか利用していない。
「これほどの発電能力を無駄にしているのは残念なことだ」とタビ氏は言う。
ラマポーザ大統領は先月発表した改革計画で、太陽光パネルを持つ人々が余剰電力を電力網に売却できるような価格体系をエスコムが設けるとした。これは多くの国々では当たり前に行われている慣行だ。
現在は魅力的な料金体系が存在しないため、太陽光パネルを当局に登録しない顧客が増える一方だ。市の配電当局者によると、ヨハネスブルクだけで未登録の太陽光パネルは2万台余りに及ぶと推計されている。
適正な電力買い取り料金が設定されれば、太陽光パネルを登録する国民が増え、エスコムも一息つけるかもしれない。
もっとも、太陽光発電普及の最大の障害であるパネル自体のコストが、これで克服できるわけではない。
ヨハネスブルクの中でも治安の悪い低所得居住区、アレグザンドラの洗車場で働くプリンス・マキーゼさんのような大半の国民にとって、太陽光パネルは手の届かない代物だ。
停電になると、マキーゼさんは洗車の機械もバキュームクリーナーも使えなくなり、訪れた「顧客候補」ががっかりして立ち去るのを見送るしかない。「1台も洗えずに8時間もここに立っている。停電になると仕事もなくなる」と嘆いた。
アレグザンドラから大きな自動車道を渡ると、そこには「アフリカで最も裕福な1平方マイル」と呼ばれる金融街サントンがある。
(Joe Bavier記者、 Promit Mukherjee記者)