「分かっているはずだ」──再訪したアフガンは暴力と不条理だらけだった
The Taliban: A Violent Peace
筆者は長年、AP通信などのアフガニスタン支局長として現地を取材してきた AP/アフロ
<そこは、もう事実を伝える声は不在。新たな恐怖政治が始まって約1年、アフガニスタンの特派員を20年間つとめてきた記者が、3日間のカブール滞在で経験したこととは?>
私はアフガニスタンに戻った。今年7月中旬のことだ。
米軍の完全撤退と前後して、イスラム主義勢力タリバンが政権を再掌握してからほぼ1年がたった。昨年8月15日、タリバンが新たな「恐怖政治」を開始する数時間前に、私は首都カブールを離れた。その後どうなったのか、自分の目で確かめたかったのだ。
アメリカが9.11テロを契機に侵攻した際、私はアフガニスタン北部にいた。それからタリバン政権復活までの20年間、特派員としてこの国で何年も過ごした。
今回の滞在は、タリバンの情報局員との攻防の末、3日間で終わった。彼らは私を拘束し、虐待し、脅迫した。私の記事が彼らの法律に違反し、アフガニスタンの文化を傷つけたと主張し、ほぼ意味不明の文章を発表して記事を取り消すことを強いた。
撤回に同意しなければ投獄すると言い、刑務所へ同行するよう要求された場面もあった。一連の出来事の間、銃を携帯した男が常に近くにいた。
だが私を脅し、私の信頼性を損なうという目的を果たすどころか、彼らは私が見たかったものを見せてくれた。それはタリバンの残忍さや傲慢、非人間性、独善、女性蔑視、統治能力の完全な欠如──つまり、彼らの真の顔だ。
短いカブール滞在中、どこへ行っても、人々は私に不安や喪失、嫌悪、絶望を語った。彼らの多くが仕事もカネも、自身の未来や子供たちの未来への希望も失っていた。
そこにあったのは暴力まみれの平和だ。市民が体制の都合で拘束され、行方不明になり、尋問され、殴打され、殺害されている。タリバンは隣人同士を張り合わせ、互いを見張って密告するよう奨励している。恐怖が根を張り、長く居座ることになりそうだ。
権力の座にある暴力的な男たちは、暴力を誇っている。
かつてニュージーランドに住んでいたというアフガニスタン外務省のアブドゥル・カハール・バルキ報道官は、オーストラリア人の私を「白人至上主義の植民地主義者」呼ばわりした。「虚偽報道」の撤回を拒否したとの理由で、カブールの地元テレビ局の職員送迎バスをタリバンが襲撃した2016年の事件を口にして脅した。