集団で強姦と殺人を犯した11人が釈放...英雄のような歓迎を受け、批判が殺到
11人の釈放に抗議する人々(2022年8月) Adnan Abidi-Reuters
<イスラム教徒に対する暴動の中で妊婦が集団で暴行を受け、家族が殺害された事件の犯人に恩赦。ヒンドゥー民族主義とのかかわりも指摘される>
2002年に妊婦を集団でレイプし、3歳の娘を含む家族7人を殺害した罪で有罪判決を受けた11人の男に、インドの裁判所が恩赦を与えた。これによって11人の受刑者が釈放されたことで、この事件が再び世間を騒がせている。8月15日、刑務所から出てきた11人を待っていたのは、英雄を迎えるような歓迎だった。
11人は、2002年にインド西部のグジャラート州で起きた大規模な暴動において、当時21歳のイスラム教徒ビルキス・バノさんを集団レイプし、その家族を殺害した罪で、2008年に終身刑の有罪判決を受けていた。ロイターによれば、バノさんは当時、妊娠5カ月だった。
ソーシャルメディアで拡散された動画には、釈放された11人が、親族からお菓子を配られたり、敬意の印として足に触れられたりしている様子が映っている。
2002年2月、ヒンドゥー教の巡礼者59人を乗せた列車が炎上し、乗客全員が死亡するという事件が起きた後、イスラム教徒の迫害が始まった。事件の報復として、グジャラート州だけで2000人近くが刃物、銃、炎によって命を奪われた。犠牲者の大部分がイスラム教徒だった。
騒動のさなかにあった3月3日、畑に避難していたバノさんの家族が、鎌や剣、棒を振り回す20~30人の集団に襲われた。一連の恐ろしい暴動のなかでも、バノさんに対する集団レイプは、インドの少数派であるイスラム教徒たちの神経を逆なでする出来事だった。
被害者は「正義への信頼を揺るがされている」
2022年8月15日の夜、レイプ犯たちが釈放されたという事実を受け入れることができず、バノさんは言葉を失った。
バノさんの夫であるヤクブ・ラスールさんはインディアン・エクスプレスの取材に対し、こう語った。「私たちの長年にわたる戦いが、一瞬にして終わりを迎えた。裁判所によって下された終身刑の判決が、このような形で短縮されるなんて......。私たちは、『恩赦』という言葉を聞いたことすらなかった。そのような制度が存在することすら知らなかった」
バノさんは、声明の中で次のように述べている。「女性のための正義がなぜ、このような終わりを迎えるのか? 私は、この国の最高裁判所を信頼していた。私は裁判制度を信頼し、トラウマとともに生きることをゆっくり学んでいた。これらの受刑者が釈放されたことで、私は心の安らぎを奪われ、正義に対する信頼を揺るがされている」
バノさんはさらに、「これほど重大で不当な決定を下す前に、誰も、私の安全や幸福について尋ねなかった......。恐れることなく平和に生きる権利を返してほしい。家族と私の安全を守ってほしい」と語り、グジャラート州政府に決定の撤回を求めた。