給食の献立に苦心する栄養士たち 物価高は困窮家庭の子どもに影
足元の物価高が学校給食に影を落とし、1日の食事の中で重要な栄養源となっている困窮家庭の子どもたちへの影響が懸念されている。食材費が軒並み上がる中、限られた予算内でどう献立をやりくりするのか、現場の栄養士は四苦八苦している。この学校では360食分を調理している。6月29日、東京・足立区の千寿青葉中学校で撮影(2022年 ロイター/Issei Kato)
足元の物価高が学校給食に影を落とし、1日の食事の中で重要な栄養源となっている困窮家庭の子どもたちへの影響が懸念されている。食材費が軒並み上がる中、限られた予算内でどう献立をやりくりするのか、現場の栄養士は四苦八苦している。
東京・足立区の千寿青葉中学校で栄養士をしている佐藤和美さんのもとには、昨年から毎月のように納入業者から値上げの知らせが届く。揚げ物に使う食用油は、斗缶と呼ばれる18リットル入りの角形缶が前年の同時期から1750円値上がりした。佐藤さんは生徒と教職員合わせ、毎日360食を担当。1回につき3缶使うため、計5250円のコスト増だ。
昨年のこの時期1キロ180円だったたまねぎは、350円に値上がりした。子どもたちに人気のカレーライスやミートソーススパゲッティに欠かせないため、使用頻度が高い野菜が高騰するのは影響が大きいという。しかし、量や品数を減らさず代用などで節約し、バランスをとりながら献立を考えている。
夏休み明けにやせて登校する子供も
学校給食は、児童や生徒の健康や成長などを考え栄養量の基準が定められている。厚生労働省の助成を受けて実施された「食事状況調査」によると、給食のない日はある日に比べ、栄養の接種基準を満たしていない子どもの割合が多くなる。
「季節の果物は月に1、2回程度入れるように心がけているが、頻繁には難しい」と、佐藤さんは言う。果物は1つおよそ50円。360食分だと1万8000円になる。代わりに手作りのゼリーやケーキを添えるようにしている。「子どもたちに『今日の給食、寂しいな』と思われないように心がけている」と、佐藤さんは話す。
とりわけ懸念されるのが、生活が苦しい家庭の子どもたちへの影響。夏休み明けにやせて登校する子どももいるという。認定NPO法人キッズドア(東京都中央区)が困窮家庭の保護者を対象に6月中旬に実施したアンケート調査によると、最近の物価高で生活が「大変苦しくなった」と回答したのは48%。「苦しくなった」と合わせると85%にのぼる。
「肉や魚が買えない」は37%、「おかずをつけられない」は14%だった。食事の回数が減ったとの回答も10%あった。81%が、給食がなくなる夏休み中の食事が不安と答えた。調査には同NPOが支援する1386人が回答。多くが1人親や年収200万円未満の家庭だという。