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イギリス、財務相と保健相が辞任 「ジョンソン首相退陣は時間の問題」との声も

2022年7月6日(水)10時41分
イギリスのジョンソン首相

英国のスナク財務相とジャビド保健相が辞任した。相次ぐ不祥事の対応に追われているジョンソン首相(写真中央)に大きな打撃となる。英議会で3月撮影。提供写真(2022年 ロイター)

英国のスナク財務相とジャビド保健相が5日、辞任した。相次ぐ不祥事の対応に追われているジョンソン首相に大きな打撃となる。

市場や政界関係者の見方は、以下の通り。

首相の退陣は時間の問題

<野村の外為ストラテジスト、ジョーダン・ロチェスター氏>

財務相と厚労相が共に辞任すれば、首相が退陣するのは時間の問題だ。新たなリーダーは有権者や党員を味方につけたいだろうから、おそらくエネルギーへの財政補助や減税が想定される。

しかし、新指導者の勝者が決まるには6─8週間ほどかかり、その後に新財務相の決断を待つことになる。

EUとの対立軟化か

<インベステックのチーフエコノミスト、フィリップ・ショー氏>

首相がその座にしがみつくのは、ますます難しくなっている。

初期反応はポンド売りだろう。しかし、不安定で脆弱な状況にあるのは明らかに英国だけではない。英国が欧州連合(EU)との交渉でより対立的でないアプローチを取ることで、貿易戦争などの脅威が下がるという見方もできる。

英資産にとってプラスの可能性も

<ソルトマーシュ・エコノミクスのチーフエコノミスト、デービッド・オーウェン氏>

今後3カ月で見ると、秋にさらなる財政拡張が行われる可能性があるため、英国資産にとってプラスとなる可能性がある。見通しが晴れ、より安定した状況になる可能性もあるが、短期的には政治的な状況次第だ。

ポンドに弱気の展開続く

<CIBCキャピタル・マーケッツの外為ストラテジスト、ビパン・ライ氏>

スナク財務相とジャビド保健相が政権にとどまっていたとしても、英経済全体の生活費危機という根本的な問題に対処できるかどうかは分からない。同時に、イングランド銀行は他の国々と比べて政策引き締めの対応が遅い。

このため、重要閣僚2人が辞任したという事実は政治的な観点から非常に重要だ。ただ、現時点では、それがポンドにとって重要な問題かは分からない。金融政策から見ると、ポンドにはなお弱気な展開だ。

政府が崩壊していることは明らか

<スターマー労働党党首>

全ての不正、スキャンダル、失敗を受け、この政府が今崩壊していることは明らかだ。

閣僚らは首相の正体をずっと前から分かっていた。ただ、首相が法律に違反しても支持し、何度うそをついても支持し、首相が国民の犠牲をあざ笑ってても支持した。

もし、彼らに一片の誠実さがあれば、何カ月も前に辞めていたはずだ。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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