最新記事

ロシア

斧や銃で襲われ「血の海に倒れていた」 オリガルヒ連続「不審死」は偶然ではない

Mysterious Oligarch Deaths Are 'Not a Coincidence': Russian Banker

2022年7月1日(金)19時55分
ゾーイ・ストロゼウスキ
ウラジーミル・プーチン

Sputnik/Alexei Nikolsky/Kremlin via REUTERS

<プーチンによるウクライナ侵攻の直前から相次いでいるオリガルヒ(新興財閥)たちの不審死について、ロンドンに逃れたオリガルヒが語った>

現在はイギリスのロンドンで暮らす、ロシアの銀行家ゲルマン・ゴルブンツォフによれば、数カ月前からオリガルヒたちが続けざまに謎の死を遂げており、これは「偶然ではない」という。ウラジーミル・プーチン大統領に近い存在であり、巨額の富と権力を有する「新興財閥」オリガルヒたちに何が起きているのだろうか。

【関連記事】イスラエルにさえ拒否され逃げ場を失うオリガルヒ

ゴルブンツォフは、「Secrets of the Oligarch Wives(オリガルヒの妻たちの秘密)」と題された新しいドキュメンタリーに出演。このドキュメンタリー作品は、ロシアのオリガルヒたちの女性パートナーを紹介し、プーチン政権の近くで目撃したことを話してもらうという内容だ。

このドキュメンタリーの中でゴルブンツォフは、オリガルヒの相次ぐ死について、「殺し屋は、一家を消すよう命じられると、独自の方法を考える」と話している。「似たような方法でも、斧だったり、銃だったりと、それぞれ微妙に違う。しかし皆、同じように死んでいる。一度や二度であれば偶然かもしれないが、これは偶然ではない。決して自殺ではない」

ゴルブンツォフとドキュメンタリーのナレーターは、オリガルヒたちの死について語る前に、ゴルブンツォフがロシアを去った後に起きた、ゴルブンツォフ自身の「暗殺未遂事件」について詳述している。

ゴルブンツォフがロシアを去ったのは、2人のビジネスパートナーにだまされそうになったためだ。このドキュメンタリーによれば、ゴルブンツォフはロシアの捜査当局に、2人の元パートナーに関する証拠を提出することになっていたが、命を狙われたため実現しなかった。

【関連記事】ロシアの新興財閥がプーチンの首に懸賞金「生死は不問」

6人のオリガルヒが相次いで謎の死

2022年1月末以降、6人のオリガルヒが謎の死を遂げている。1人を除いてすべてが、プーチンがウクライナに侵攻した2月24日以降の出来事だ。ゴルブンツォフは、自殺ではないと断言しているが、死の理由については何も語らなかった。同じくドキュメンタリーに出演している資本家のビル・ブラウダーは、ロシアに対する西側の制裁が一役買った可能性を指摘している。

「ロシアに対する制裁が始まってから、パイが小さくなったように見える」と、ブラウダーは話す。「つまり、少ない金を巡って大勢で争っているということだ。限られた資源と、強大な力を持つ人々がそろったとき、必ず人が殺され始める」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウニクレディト、BPM株買い付け28日に開始 Cア

ビジネス

インド製造業PMI、3月は8カ月ぶり高水準 新規受

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に

ビジネス

ユニクロ、3月国内既存店売上高は前年比1.5%減 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中