最新記事

中国

【動画】「まるで地獄から来たトラック」 中国「犬肉祭」に出荷された犬たちを救出

Hundreds of Dogs Set for Slaughter at Yulin Festival Saved From Truck

2022年6月25日(土)19時47分
アリストス・ジョージャウ
出荷される犬

YouTube

<多くの犬が「夏の風物詩」として食用に消費される中国の「犬肉祭」。ここに出荷中だった約400頭の犬が救出されたが、その環境の劣悪さは目を覆うばかりだった>

広西チワン族自治区玉林市では、夏至にあたる6月21日に、年一度の「犬肉祭」が開かれる。毎年、大勢の人がこの街に集まり、屋台やレストランで犬肉の煮込み、揚げ物といった料理を食べる。

この「祭り」は、果物のライチと犬肉を食べて夏バテを防ぐという趣旨で、10日間で何千頭もの犬が屠殺されることで知られる。そんな悪名高い「玉林(ユーリン)ライチと犬肉祭」だが、その直前に中国の警察と動物愛護活動家が、屠殺される運命にあった約400匹の犬を現地に向かうトラックから救い出す出来事があった。

動物愛護団体ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(HSI)によれば、玉林市から数百キロ離れた陝西省で6月19日、祭りのために運ばれていた386頭の犬たちが、警察と活動家によって保護されたという。

警察と活動家が高速道路でトラックを停車させたところ、うだるような暑さの中、数百頭の犬たちが、小さな金網の檻(おり)に詰め込まれているのが見つかった。その様子は動画に収められている。

「まるで地獄から来たトラック」

現場にいた活動家の一人リン・シオンは、HSIにこう語っている。「あれほど多くの犬たちが、最悪な状況に置かれているのを見てゾッとした。かわいそうな犬たちは、まるで地獄から来たトラックに乗せられているようだった。何日もトラックに乗せられていたようだ。脱水症状や飢えに苦しんでおり、ケガや病気の明らかな兆候が見られる犬も多かった」

リンはさらに続ける。「檻から顔をのぞかせる犬たちの、恐怖で固まったような表情を見たとき、この犬たちは玉林の食肉処理場に向かっていて、そこで撲殺されるのだと私たちは悟った」

トラックに乗せられていた犬たちの多くは、目や皮膚の感染症にかかっており、体調が悪いように見えた。トラックが停車させられた後、犬たちは、警察の検疫施設に運ばれた。犬たちはそこで治療を受けてから、活動家に引き渡され、保護施設に移される予定だ。

中国の食肉取引から救い出された犬の世話を支援するHSIの中国政策専門家ピーター・リーは、声明の中でこう述べている。「中国では、ほとんどの人が犬を食べない。それにもかかわらず、南部にはいまだに、玉林のような犬食のホットスポットが存在し、何百万頭もの犬がひどい苦しみを味わい続けている」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ADP民間雇用、3月15.5万人増に加速 予想上

ワールド

脅迫で判事を警察保護下に、ルペン氏有罪裁判 大統領

ビジネス

貿易分断で世界成長抑制とインフレ高進の恐れ=シュナ

ビジネス

テスラの中国生産車、3月販売は前年比11.5%減 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中