最新記事

ウクライナ軍事支援

オーストラリアからウクライナに連帯の装甲兵員輸送車が出発

Australia Sends First Armored Personnel Carriers to Ukraine

2022年6月22日(水)18時34分
ジョセフ・ゴルダー(ゼンガー・ニュース)

ウクライナの大型航空機アントノフAN-124に積み込まれるのを待つM113AS4装甲兵員輸送車 AUSTRALIAN MINISTRY OF DEFENSE

<オーストラリアがウクライナに提供を約束した装甲兵員輸送車14台のうち最初の4台が、戦場に向けて飛び立った>

オーストラリアからウクライナに供与する最初の装甲兵員輸送車が、整備を整え、大型輸送機で戦場に向かった。オーストラリアが提供を約束したM113AS4装甲兵員輸送車14台のうち、最初に送られる4台だ。

オーストラリア国防省は、装甲車の塗装塗り替えや、長距離砲の装備など、戦闘態勢を整える画像を公開。装甲車の側面には、カンガルーとウクライナの国旗を並べた記章のステッカーが貼られた。

この装甲車は、アメリカで開発された装甲兵員輸送車M113をオーストラリアが改良し、新たにM113AS4と名付けたもの。準備を終えた4台は、ウクライナの大型航空機アントノフAN-124に積み込まれ、空へ飛び立った。行き先はヨーロッパ、最終目的地はウクライナの戦場だ。

ドイツのゼンガー・ニュースは、オーストラリア国防省(MoD)の声明文を紹介している。

「ウクライナに贈呈される最初のM113AS4装甲兵員輸送車4台が先週、アンバーリー空軍基地を出発した。ウクライナのアントノフAN-124航空機に搭載されたこの4台の車両を皮切りに、オーストラリアは全部で14台のM113AS4をウクライナに提供する」

「オーストラリア政府の軍事支援パッケージは、ブッシュマスター防護機動車、M777榴弾砲、対人兵器、弾薬、無人航空機システム、各種の個人用装備品など、2億8500万豪ドル相当の支援で構成されている」

支援の決意を再確認

M113装甲兵員輸送車は、アメリカが独自に開発し、1962年にベトナムで初めて使用された。米陸軍はM2およびM3ブラッドレー装甲車に移行するため、M113を徐々に減らしているが、現在でも数千台が、装甲救急車や機関兵、指揮官の車として支援任務に使用されている。

オーストラリアではM113AS4を約700台保有しており、主に偵察に使用している。

またオーストラリア国防省の声明には次のように記されている。「アンソニー・アルバニージ首相は、今回の軍事支援はウクライナ国防相からの車両の追加を求める要請に応じたもので、ウクライナの人々を持続的に支えるというオーストラリアの覚悟を示すものであると語った」。

引用されたアルバニージの言葉はこうだ。「オーストラリアは、多くの国々と同様、ロシアによるウクライナの人々への不当な侵略を非難する」

「わが国は、この無法な紛争が始まって以来、ウクライナの側に立ってきた。そして、今回送り出した装甲兵員輸送車のような重要な軍事力の利用を可能にできることを誇りに思う」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中