ウクライナ種子銀行がもつ2000種の穀物遺伝子が危機に 世界の食糧確保にも影響
クロップ・トラストはウクライナに種子複製のための資金援助を行ったが、戦争と自然サイクルに絡む安全保障や物流上の問題があるため、複製スピードを加速させるのは難しい。
シュミッツ氏の推計では、1年以内にバックアップできるのはウクライナの種子のせいぜい10%程度にとどまる見通し。複製した種子をスバルバルに送れるようになるまでには、適切な時期に作付け、育成、収穫を行う必要があるからだ。
緊急措置として、複製をあきらめて種子をそのままスバルバルに送る手もあるが、シュミッツ氏によると戦時下では現実的ではなさそうだ。
先史時代からの貴重な種子を守れるか
シリアの種子は定着農業発祥の地とされる「肥沃な三日月地帯」から生み出される。ウクライナもまた世界的な農業の中心地だ。
ノルウェー農業・食料省の上席顧問、Grethe Helene Evjen氏は「ウクライナの農業の歴史は、先史時代にさかのぼる」と語り、同国の種子の多くは独自の種類だと付け加えた。
Evjen氏によると、同省はウクライナの種子複製を支援し、全ての種子をスバルバルに保管する用意があるが、ウクライナ当局からまだ要請は受けていない。
(Maytaal Angel記者)
【話題の記事】
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・ウクライナのどさくさに紛れて「侵攻」を狙う、もうひとつの旧ソ連の国
・戦況マップ】ロシア軍は数日でこれだけ占領地域を失った
・遺体ばかりか負傷兵も置き去り──ロシア軍指揮官のプロ意識がさらに低下