最新記事

航空機

イタリア機、パイロット同時居眠りで通信途絶 テロ警戒で戦闘機2機待機のパニックに

2022年6月13日(月)15時30分
青葉やまと

解雇の機長に同情の声も

機長は無線機器が故障したと主張しているが、ITA社による事後の調査で機体に異常はみつからなかった。同社は、機長が居眠りをしていた事実は確認できなかったものの、少なくともあるべき無線応答の手順に従わなかったと説明している。

疲労が蓄積していた機長に対し、同情の声もあるようだ。米旅行情報サイトの『ワンマイル・アット・ア・タイム(OMAAT)』は、控えとして第3のパイロットがいなかったことは「興味深い」としている。

アメリカでは民間航空におけるコントロールド・レストの実施が認められていないが、8時間以上のフライトには必ず控えのリリーフ・パイロットが搭乗し、パイロット同士で交代して睡眠を取れるようになっているという。最大で片道9時間45分を要するこの路線が2人のみで運行されていたこと自体が、アメリカの基準からするとそもそも無理があるようにも思われる。

しかし、リリーフ・パイロットを設けてもなお、万全とはいい切れないようだ。OMAAT誌の記事に対し、業界経験をもつと主張するある読者は、同時仮眠のインシデントは「さほど特別なことではない」と反応した。

「フライト・アテンダントとして働いた30年間のキャリアのなかで、コックピットに入って3名のパイロット全員が寝ているのを発見したことは何度もあります」「そういうときは毎回、コーヒーを用意して戻り、『コーヒー、クリーム、シュガーはいかが?』と大きめの声で呼びかけるんです。こうして、居眠りに気づかなかったふりをして起こすことができます。」

居眠りとまではいかずとも、睡魔と戦っているパイロットは思いのほか多いのかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米・イスラエル、ガザ住民受け入れ巡りアフリカ3カ国

ビジネス

ECBの4月据え置き支持、関税などインフレリスク=

ビジネス

中国新規銀行融資、予想以上に減少 2月として202

ビジネス

独BMW、関税戦争が業績10億ユーロ下押しへ 24
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 10
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中