「犯罪の都」オデーサの親ロ派市長がロシアに反旗
Pro-Russia Mayor of Ukraine's 'Crime Capital' Turns His Back on Putin
ロシアの軍事侵攻でプーチン支持をやめたオデーサ市長(4月8日) Igor Tkachenko-REUTERS
<親ロシア派で知られたウクライナの港湾都市オデーサの市長が、今はロシア軍の攻撃に対する守備を固め、徹底抗戦を主張している>
ウクライナの「犯罪の都」として有名なオデーサ(オデッサ)の親ロシア派市長が、ロシアによる侵攻3カ月目にしてウラジーミル・プーチン大統領に反旗を翻した。
オンライン英字新聞「ザ・キーウ(キエフ)・インデペンド」によると、ウクライナ南部の主要な観光地オデーサのゲナディー・トゥルハノフ市長は、有名な親ロシア派であり、汚職疑惑でも知られていた。そしてオデーサは、違法建築が爆発的に増えていることから、同国の元内相にウクライナの「犯罪の都」と呼ばれていた。
だが2月末のロシアによるウクライナ侵攻以来、市長は態度を変え、ウクライナの主権を擁護するようになった。ロシアに好意的だったウクライナ人の間でも、今回の侵攻がいかに嫌われているかを示している。
トゥルハノフは5月17日付の同紙のインタビューで、自分の方向転換を弁明した。ウクライナ第3の都市オデーサの市長になったとき、自分はウクライナ国民に「忠誠を誓った」と彼は言い、それは自分にとって重要なことだと語った。
「私の認識は変わった。残念なことだが」と彼は言った。「ロシアの人々が、私たちウクライナ人をこんなに憎んでいるとは思ってもみなかった。私にはショックだ」
ロシアマフィアともつながり?
オデーサは黒海貿易に重要な役割を果たしており、ウクライナとロシアのどちらにとっても譲れない都市だ。ロシアに占領されれば、ウクライナは世界のサプライチェーンから切り離され、世界中の食糧不足が深刻化することになる。
また、ロシアにとってオデーサには象徴的な重要性もある。旧ソ連時代、第二次大戦中にナチスと戦った住民の勇敢な姿が評価され、オデーサは12の「英雄都市」の一つに指定された。今回のウクライナ侵攻以前は、親ロシア感情の強い都市として知られていた。
ここ数週間、ロシア軍はオデーサに攻撃を続けている。先日も市民に人気のショッピングセンターや娯楽施設が攻撃され、1名が死亡した。5月初めには、市内の寮がミサイルで破壊され、10代の少年が死亡した。
トゥルハノフはロシアのマフィアとつながりがあると非難されている。侵攻の数カ月前から、組織犯罪との関係を疑われ、告発されていたのだ。だがインデペンデント紙のインタビューでは、自分のウクライナを守る強い姿勢を信じない人が多いことに「不快感」を覚えたと語った。