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新型コロナウイルス回復後も倦怠感や息切れ、認知新型コロナの後遺症「ロングコビット」 女性のほうが影響を受けやすい
女性のほうが男性よりもロングコビットの症状を訴える人が多い...... golubovy-iStock
<新型コロナ回復後も倦怠感や息切れ、認知機能障害などの症状が数カ月にわたって続く「ロングコビット」についてはの調査が行われた......>
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復後も倦怠感や息切れ、認知機能障害などの症状が数カ月にわたって続く「ロングコビット」については現時点で明らかになっていないことが多く、有効な治療方法もまだ確立されていない。
英国の研究チームは、新型コロナウイルスに感染して英国の医療施設39カ所で入院治療を受け、2020年3月7日から2021年4月18日までに退院した2320人を対象に、退院から5か月後と1年後の追跡調査を実施。その調査結果を2022年4月23日、医学雑誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン」で発表した。
退院から1年、倦怠感、筋肉痛、思考力の低下、短期記憶障......
退院から5か月後と1年後の両方で追跡調査に参加したのは対象者のうち32.7%にあたる807人。平均年齢は58.7歳で、35.6%は女性、27.8%は急性期に人工呼吸器による治療を受けている。
退院から5か月後に全快した割合は25.5%、1年後に全快した割合は28.9%で、退院から5カ月後と1年後でその割合にあまり変化はなかった。退院から1年後にみられる持続的な症状として、倦怠感、筋肉痛、睡眠不足、息切れ、関節痛や腫れ、思考力の低下、短期記憶障害などがある。
この調査結果では、退院から1年後も全快しづらいリスク因子として「女性」、「肥満」、「急性期での人工呼吸器による治療」をあげている。女性は33%全快しづらく、肥満の人は50%、急性期に人工呼吸器による治療を受けた人は58%全快しづらい。
「新たな長期の疾患としてまん延するおそれがある」
研究論文では「新型コロナウイルス感染症で入院治療した後に全快した人は少数にとどまった。患者の健康にまつわるQOL(生活の質)は入院前に比べて低下していた」とし、「有効な治療方法がなければ、ロングコビットが新たな長期の疾患としてまん延するおそれがある」と警鐘を鳴らしている。
「女性のほうが男性よりもロングコビットの症状を訴える人が多い」との研究結果は、伊パルマ大学の研究チームが2022年3月に発表した論文でも示されている。新型コロナウイルスに感染した患者223人を対象に急性期から5カ月後の追跡調査を行ったところ、女性のほうが男性よりも、呼吸困難、脱力感、胸の痛み、動悸、睡眠障害を訴える人が多かったという。