最新記事

ロシア富裕層

「シャネルなんかいらない」ロシア人セレブが対ロ制裁に過激抗議

As Chanel Refuses to Sell Goods to Russians, Some Cut Up Bags in Protest

2022年4月7日(木)14時26分
ローラ・コーパー

シャネルは既にロシアの店舗をすべて閉鎖している(写真は2014年、モスクワの店舗) Sergei Karpukhin-REUTERS

<手持ちのシャネルバッグを刃物で切り裂く動画で抗議の意を表明>

ロシアに持ち帰る予定なら、ロシア人には商品を売らない――高級ブランドのシャネルのこの発表に、ロシアの富裕層の女性たちから反発の声が上がっている。

モデルのビクトリア・ボニアなど複数のロシア人女性は、ソーシャルメディアに動画を投稿。シャネルのハンドバッグを刃物で切り裂き、抗議の意を表明した。


「シャネルほど顧客に対して失礼な行動を取るブランドは、これまでに見たことがない」とボニアは投稿の中に書いている。

ロシアとウクライナの戦闘が続くなか、シャネルをはじめ、ザラやプーマなど複数の企業がロシアとのビジネスを停止する決定を下している。AP通信によれば、シャネルはロシア人顧客への商品販売を停止するという今回の決定に先立ち、ロシア国内の全てのブティックを閉鎖していた。

シャネルは声明の中で、今回の追加措置について、EU(欧州連合)およびスイスが4月5日に導入した新しい対ロ制裁措置に従ったものだと説明した。それには「ぜいたく品を直接または間接的に(ロシア国内に)販売、供給、譲渡または輸出すること」とある。

「利益よりも信条を重視する前例のない決定」

同社はさらに声明の中で、購入された自社製品がロシア国内に持ち込まれないという確証を得るために、購入者の居住地を確認するプロセスも設けたと述べた。女優兼TV司会者のマリナ・エルモシュキナがソーシャルメディアに投稿した内容の翻訳によれば、このプロセスには、購入した商品をロシア国内では絶対に身に着けない、という「屈辱的な」誓約書への署名が含まれるという。

エルモシュキナは、今回のシャネルの決定に怒りを表明したロシア人インフルエンサーの一人だ。彼女はソーシャルメディアに、工業用のハサミで自分のシャネルバッグを切り裂く動画を投稿し、シャネルの決定を「ロシア嫌悪」だと批判した。



英デイリー・スター紙の翻訳によれば、「シャネルを持っていることが母国を売ることを意味するなら、シャネルなんていらない」と彼女は投稿に書き込んだ。

ファッション評論家のグエン・ロングはAP通信に対して、「利益よりも信条を重視する」今回のシャネルの決定は「ほとんど前例がない」ものだと指摘した。

「シャネルにとってロシアは最大の市場のひとつであり、同社が今回の選択で金銭的に大きな打撃を受けるのは確実だ」と彼はAP通信に述べ、さらにこう続けた。「だがこれは、シャネルにとって政治的な決定でもある。ウクライナでの戦闘に反対の者が多い、Z世代の顧客にアピールしたいと考えているからだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統、太平洋3カ国訪問へ 米立ち寄り先の詳細は

ワールド

IAEA理事会、イランに協力改善求める決議採択

ワールド

中国、二国間貿易推進へ米国と対話する用意ある=商務

ビジネス

ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中