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中国社会ロックダウンされた団地の公衆トイレに寝泊まりし掃除を続けた清掃員
朝5時〜夜10時までの間トイレを掃除したリ・チュンツャオさん Photo:Handout
<公衆トイレで寝泊まりするなど避けたい人が多いはずだが、リ・チュンツャオさんは違った。団地の住民とボランティアのためにひたすらトイレの衛生を保った>
感染者や濃厚接触者が確認されたビルや店舗に閉じ込められ、隔離生活を送る人々......中国の「ゼロコロナ」の厳しさは、日本でもよく知られるところだ。お見合い相手の家でデート中に隔離期間に入り、その後結婚したカップルもいて、厳しい状況の中でも稀に微笑ましい話もある。
人口2500万人の上海市は、3月1日に確認された市中感染者はわずかに2人だったのが、その後1ヶ月あまりで急増している。8日に確認された新型コロナウイルス新規感染者は2万2122人で、6日連続で過去最多を更新している。広範なロックダウンと大規模検査が実施されているものの、それに伴って感染者の増加も続いている。
厳しい状況の続く上海のとある団地で清掃員として働くリ・チュンツャオさん。先月、清掃員として働く団地で新型コロナウイルスの感染者が確認され、出勤中だったリさんは職場である団地の敷地内での隔離生活を余儀なくされた。
期間は3月17日〜21日まで。しかも、リさんの働く団地に建つ2棟は1950年代に各家に専用トイレなしで建てられたため、公衆トイレは住民の生命線だった。その清掃をリさんは買って出た。隔離が始まると、医療関係者やボランティアも多く利用するようになった。
彼女は仕事を放棄せずに、朝5時〜夜10時までの間、30分おきにトイレを掃除し消毒していたという。
食事の調達は同僚や地域住民に頼み、夜は同僚が送ってくれたリクライニングチェアに毛布をかけて寝る。防護服などの差し入れもあったそうだ。そして起きたらひたすらトイレを清潔に保ち続けた。
公衆トイレでの日々を振り返り、「夜は大雨で異臭が漂い、蚊取り線香を焚いて寝ました。最初の晩は寒くて眠れず、変な気分でした」と、リ・チュンツャオさん。「でも、誰かがやらなければならないことに気づいたんです」
彼女は、中国の新型コロナウイルスとの闘いにおいて、自分には果たすべき役割があると思いながらも、いざ自分がその渦中に置かれ大きな不安を感じたと心境を明かしている。
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