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1500人の女性を囲い17人に子ども54人を産ませた「好色将軍」徳川家斉が実子を増やし続けた理由とは

江戸幕府11代将軍の徳川家斉

江戸幕府11代将軍の徳川家斉 写真=CC BY-SA 3.0/Wikimedia Commons


江戸幕府11代将軍の徳川家斉は、多くの側室を持ち54人の子を産ませている。歴史研究家の河合敦さんは「大奥には約1500人を囲い、『歴代将軍で最も好色だった』といわれている。しかし、そこまで子をもうけたのには、別の狙いがあったようだ」という――。

※本稿は、河合敦『徳川15代将軍 解体新書』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

11代将軍・家斉の父は徳川吉宗の孫、母は大奥の奥女中

11代将軍・徳川家斉は、御三卿の一橋家から徳川宗家を継いだ人物である。9歳のときに10代将軍・家治の養子となり、15歳で将軍の地位についた。

その実父は、吉宗の孫・一橋治済、母は岩本正利の娘・お富の方で、彼女は治済の側室である。岩本氏は吉宗の時代に紀伊藩士から幕臣に取り立てられた家柄で、お富の方は大奥の奥女中だったが、治済が見初めて将軍・家治に頼んで自身の側室にしたといわれる。

家斉の誕生については、奇瑞(きずい)が報告されている。一橋邸の御産小屋で生まれるとき、にわかに室内が明るく照らされ、鶴が屋上を悠々と舞い、やがて庭に降り立ったというのだ。人びとは「なんとめでたいことだろう」といい合ったが、のちに将軍になったというので、「なるほどやはり」と納得したそうだ。

しかし、偉人の生誕によく付会される吉兆のたぐいであり、もちろん史実とは思えない。

頻繁に宴会を開く酒好きの将軍

家斉は酒宴が好きで、「雪月花の折々又五節(五節句)などには御宴をひらかれ。近習の人人召つどへて。折ふしの興を催し給ふ」(『徳川実紀』)とあるように、頻繁に宴会を開いていた。

壮年までは浴びるように酒を飲んでいたが、ほとんど酔うことはなかったといい、晩年は3献以上を飲まないようにしていたともいう。

ともあれ、宴会好きで女好きという自堕落な印象があるものの、毎朝早く起き、かなり規則正しい生活を送っている。

今でいう「ポロ」の腕前は群を抜いていた

運動神経もよく、乗馬が趣味だった。毎年冬には吹上の馬場に良馬で有名な南部仙台の馬を集め、家臣たちが乗るのをみて、自らよい馬を選んで札をつけるなど、馬の目利きにも長けていた。

また、馬術の奥義を究めたとされる。とくに打毬(だきゅう)を好んだ。これは、馬に乗って杖(スティック)を使い毬(ボール)を門(ゴール)へ投げ入れるポロに似た競技である。

将軍・吉宗が復活させたものだが、家斉は五十三間もある馬場で打毬をおこなったさい、馬場の端にある毬門に正確に毬を投入したという。近習も老臣も家斉の腕にかなう者はいなかった。

馬、鷹狩り...趣味にはとことんのめり込む

鷹狩りも好きだった。祖父吉宗が好んだと知り、幼いころから鷹狩りをしたと『徳川実紀』にあるが、おそらく補佐役の定信が家斉を文武両道の名君にしようとして勧めたのだろう。

だが、馬と同様、非常に熱を上げ、成人してのちも鷹狩りを頻繁におこない、厳冬期の風雪を冒してまで鶴などを狩った。

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