名門UCバークレーに「壊滅的」な裁判所命令 入学者3000人削減へ
現地の住宅事情は切実だ。サンフランシスコ・ベイエリアには、テック大手GAFAを構成する4社のうち3社が集結する。業界の好況と富裕層の流入に伴い、家賃は高騰してきた。ありきたりなワンルームマンションの賃料が30万円を超えることもめずらしくない。家を借りられず、テント暮らしや車中泊などでしのぐ人々が社会問題となってきた。
バークレーもサンフランシスコ中心部から湾を挟んですぐ対岸に位置しており、この影響を如実に受けている地域のひとつだ。UCバークレーの学生に関しても、住環境は良好とはいえない。一部の学生は戸建てを改造した寮に数人で住み、1人あたり月に1000ドル(約11万5000円)の寮費を負担している。
増加の一途をたどる同校の学生に対し、救う会は一貫して不快感を示している。下級審は昨年8月、法廷闘争が決着するまでの暫定措置として、同校の学生数を2020年度と同水準に維持するよう命じた。今回の判決はこの判断を支持する内容となる。
志願者に広がる不安
住民感情の一方、判決は同校を目指していた志願者たちに動揺を与えている。UCバークレーの志願者は、今年度だけで15万人に及ぶ。そのなかには、この地域で生まれ育ち、日々目にするキャンパスへの入学を夢見てきた若者も含まれる。学生数を削減するとなれば、こうした地域の若者への影響は避けられない。
17歳のマックス・シュロスバーグ青年も、削減命令に胸を痛める受験者の一人だ。バークレーの街で育ち、両親が学生時代を過ごした大学に自分も通う日を思い描いてきた。だが、ただでさえ難関のUCバークレーの門をくぐれる可能性は、判決により一段と低くなった。サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙に対しシュロスバーグ青年は、「すでに僕にはどうしようもありません」とこぼす。
UCバークレーは地域のシンボルでもあり、住宅問題を除けば住民との関係は必ずしも敵対的というわけではない。大学前のテレグラフ・アベニューは、芸術や文化、リベラルな活動の拠点として、1960年代から常に話題を提供してきた。今日でも観光客を惹きつけるメインストリートとなっており、その歴史は大学の発展と共にある。
大学側は州の最高裁判所に削減命令の停止を求めており、市議会は決議でこれを支持した。合格発表まで1ヶ月を切るなか、志願者たちは固唾を呑んで事態の行く末を見守っている。