平手打ちのウィル・スミスにオスカー受賞の資格はあるか?
声明はさらに続く。「当アカデミーには、自らの地位や権力、影響力を、一般に認められる常識に反する方法によって悪用する人間たちの居場所はない。性別、性的指向、人種、民族、障がい、年齢、宗教、国籍にもとづくいかなるかたちの虐待、ハラスメント、差別に対しても、断固として反対する」
スミスをめぐる騒動を受けて、ネット上では過去のアカデミー賞受賞者に注目が集まっている。最も悪名が高いところでは、少女に対する性的暴行で捕まった映画監督のロマン・ポランスキーや、セクハラで告発されたプロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインなどがいる。
ポランスキーは、2003年に『戦場のピアニスト』で監督賞を受賞し、会場は観客総立ちの拍手喝さいに包まれた。しかし、本人はその場にいなかった。1977年に、未成年者に対する性的暴行の罪で米国で有罪判決を受け、翌年の再収監日の前夜に国外に脱出したためだ。それでも、ポランスキーは監督賞という栄誉を手にしたままだ。
その後#MeToo運動の盛り上がりをきっかけに、アカデミーは2018年、ポランスキーを除名処分にしている。
一方、81個のオスカーを獲得した有名プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインには、数えきれないほどの性的暴行疑惑がある。2017年10月5日にニューヨーク・タイムズ紙が初めて性的暴行疑惑を報じた後、ワインスタインは同年10月14日、アカデミーから追放された。2020年には、禁錮23年の判決が下されている。
性的暴行やセクハラで罪を問われたアカデミー賞受賞者はほかにも、俳優ケイシー・アフレック(2016年主演男優賞)、監督で俳優のウディ・アレン(1977年監督賞のほか、脚本賞3回)、俳優ケヴィン・スペイシー(1996年助演男優賞、2000年主演男優賞)などがいる。
「ロマン・ポランスキー、ウディ・アレン、ケイシー・アフレック、ケヴィン・スペイシーは誰もオスカーを取り上げられていないのに、何千万人もの目前で侮辱された妻を守ろうとした男は別扱いするのか? アカデミーは地獄に落ちろ」と、ある映画ファンはツイートした。
アカデミーが公式に示した態度を見る限り、スミスは「別扱い」されるようだ。
アカデミーは本誌に対し、「当アカデミーは、昨夜の授賞式でスミス氏がとった行動を非難する」と述べた。「この件については正式な調査がすでに始まっており、アカデミーの内規と行動規範、カリフォルニア州法に従って、さらなる措置と処分を検討する予定だ」
(翻訳:ガリレオ)