アフガニスタン、学業の夢遠ざかる女性たち 生活困窮で復学困難に
「人道上の危機においては、女性の権利が脅かされる」と語るのは、ヒューマン・ライツ・ウォッチで女性の権利に関する暫定共同局長を務めるヘザー・バー氏。「女性・少女は、経済危機による影響を不釣り合いに大きく受けてきた」
バー氏は、タリバンによる女性の扱い、そして国際社会がアフガニスタンの経済危機に対応してこなかったことに原因があると指摘する。
親族の経済状況悪化も
一部の女子学生にとっては、かつて学費を援助してくれていた親族に、その余裕がなくなったという事情もある。
ヘラートで心理学を学ぶマータブさんは、「人々のために尽くしたかった。(略)でも、もう勉強を続けることができない」と言う。家族の安全のために姓は伏せたいと希望している。
マータブさんは、以前は姉が学費を出してくれたという。だがその姉は、出国した大統領の広報担当オフィスでの仕事を失ってしまった。
マータブさんの姉は、タリバンによる権力奪取後、女性らによる抗議行動に参加していたことがタリバンに知られたため、報復を恐れて国外に逃れた。
国連及び一部諸国の政府は、ここ数カ月で複数発生している失踪を含め、女性の権利を推進する活動家に対する報復について警鐘を鳴らしている。タリバン政権は、これらの失踪については調査中だとしている。
公的な教育機関は、他の地域では2月2日に、カブールでも26日に再開されており、一部の女子学生は復学を予定している。だが彼女たちは、男子学生との隔離や科目の選択肢の制限、ブルカ着用の義務付けを警戒している。
大学が再開された地域でも、保守色の強い地域性を反映して、そうした慣行がすでに導入されているところがある。
比較的リベラルなカブールやヘラートを含め、それ以外の地域では、教室やキャンパスにおける女性を対象とする規則については、依然として不透明だ。
カブールの住民で心理学を学ぶアナヒタさん(20)は、「タリバンがブルカ着用を強制するなら、大学に行くよりも家にいたい」と語った。
時代に逆行
都市部を中心とする女性の権利の拡大は、2001年に米国主導の戦争により前回のタリバン支配を打倒した後、西側諸国による軍事的・財政的なアフガニスタン介入がもたらした主な成果の1つとして称揚されてきた。
それ以前は、教育の禁止のみならず、大半の職業で女性が排除され、女性が外出する際には、男性の親族による付き添いと、全身を覆うブルカの着用が義務付けられていた。