World Voice

ミャンマーでエンタメとクリエイトする日々

新町智哉|ミャンマー

今ミャンマーで見えているもの見えていないモノ

夕方のヤンゴン:筆者撮影

おはようございます。
ミャンマー生活10年目、新町がお送りしております。
(恐らく)今月最後の投稿になる今回は思いついた事を思いついたままに書いていこうと思います。
ボンヤリと今考えている事からスタートするのでどんな話になるのか書いている今もよくわかっていません。
お時間ある時にお付き合いいただければ幸いです。

一つお知らせです。
『ミャンマー春の祭典を再び名古屋で!』
ということで名古屋の有志の皆さんがイベントを行います。
個人、法人を問わず寄付をお願いしています。
収益は全てミャンマー難民などの支援に使われます。
ご支援の程、よろしくお願い致します。

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上記画像リンクからご支援いただけます。


最近近所から大きな音で音楽を流しているのを耳にします。
4月にある1年で最も大きなお祭りのシーズン水祭りの曲です。
水祭りの曲というのは一つでは無く何曲もあります。
それがメドレーのように色んな音楽がかかっていたりします。
まだ実際の水祭りの時期までは少し早いのですが、既にお祭り気分というの人々の中で始まっているのかもしれません。

2020年のコロナ、そして2021年に起こったクーデター以降、ヤンゴンでもまともな水祭りは行われていません。
それもあってせめて気分だけでも長い期間味わおうという事なのかもしれません。
その心中は直接聞いた訳ではないのでわかりませんが長年この国に住んで毎年本当に楽しそうにしている水祭りの時期を思うとそのように考えてしまいます。

クーデター以降、国の経済はガタガタです。
物価もかなり高騰しています。
それもそのはず米ドルベースで言うとクーデター直後から3分の1に暴落しています。
因みに日本円は2分の1弱といったところでしょうか。

輸入品などはわかりやすく当時の3倍くらいになった物も少なくありません。
本当に地元のものは僅かな値上がりだけで済んでいるようにも見えますが、それはごく一部というところでしょう。

しかし、人々の給料はクーデター前からほぼ変わっていません。
これは小さな会社だけでは無く大手で働いている人もそのようです。
経済は確実にほぼ全てのものが下落していて、若干のところが停滞している状態。
そして皮肉ですが、海外への人材関係などは当時より勢いがあるような状況です。

何もないよりはマシではあると思いますが、この国の宝である若く才能ある人材がドンドンと海外に流れていくのを複雑な想いで日々眺めています。
そして、爆発事件などがちょくちょく起こります。
ニュースに出るもので私たちは知る事になるのですが、ニュースにならないものがもっと多数あるのだろうなと予想する事は難しくありません。

そして、更に表に出ずにしかし確実に起こっている不穏な事件はほぼ毎日私が住むヤンゴンでも起こっています。
私が耳にする全ての不穏な事件が真実だとは思いませんが、それでも多くは事実なのだと実感しています。
それだけ今のミャンマーは長らく日本で育った私では想像しきれないくらいの空気が漂っています。

アウンサンスーチーさんたちが是正しようとしていた賄賂や不正なども最近では隠そうとさえしない人間で溢れているようです。
民主化とはなんだったのか、正義とはどこにあるのか、ミャンマーの人々の希望は今どこにあるのだろうかと考え出すと随分と気持ちが落ち込んできてしまいます。
そんなことを考える余裕があるのも所詮わたしがよそ者だからというのは確実にあるからです。

10年前、この国に来たばかりの時にあったミャンマーの若者たちはみんな底抜けにポジティブだったなと懐かしく思います。
その時のミャンマーと比べると飽和しきっていた日本からは想像以上に勢いがあったのだと思います。
経済的な伸びも実際にあったとは思いますが、それ以上に人々に勢いがあったと思います。

ですが、それも表裏一体だったのだなと改めて思います。
若い人たちであってもその前の暗黒の時代も決して遠く無い過去として理解していたからです。
彼らの親の世代は勿論んですが、20代ともなれば直接恐ろしい体験をしている人も少なくありません。

そんな彼らは今のミャンマーをどう見ているのでしょうか?
どう思っているのでしょうか?
私が知っている友人たちの目に絶望感しかないという事はありません。
こんな時でもしっかり前をみて生きようとしている、日々できる事を考えている友人が多いと思います。
私も彼らから力を貰っています。

ですが、少し引いた目線で見てみると10年前の時より彼らに勢いが無くなってしまっているような気もします。
遥か先の未来を夢見ていた目線は随分と下に下がり、目の前の事に一生懸命にならざるを得ない現状がそうさせるのでしょうか?
底抜けに笑っていた時間は随分と短くなってしまったのかなとふと気づきます。

難しい顔をしたり微妙な表情をしたり、はっきりと言えない事が増え、なんだか日本人っぽいなと思う事も増えたかもしれません。
やるせない日々が続いています。

それでも彼らは精一杯笑いかけてくれます。
そして新しい命はこの間も産まれています。
無邪気で優しいミャンマーという国の人たちの輝かしい未来は少し遠くなってしまったのかもしれませんが、まだ無くなった訳ではありません。

この国で何かを成し遂げようとずっとからまわっている私にいつも寄り添ってくれている仲間たちと共に負けないよう頑張っていこうと思います。

それでは、また。

 

Profile

著者プロフィール
新町智哉

映像プロデューサー。2014年からミャンマー最大都市ヤンゴンに在住。MAKE SENSE ENTERTAINMENT Co.,Ltd. GM。日緬製作スタッフによる短編コメディ「一杯のモヒンガー」でミャンマーワッタン映画祭のノミネートを皮切りに世界各国の映画祭で受賞。起業家、歌手、俳優としてもミャンマーで活動する。

Twitter:@tomoyangon
Instagram:tomoyangon
note:https://note.com/tomoyaan

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