最新記事

プーチン

プーチン逮捕・起訴に向けて、国際社会の反撃──戦犯の証拠保全が活発化

2022年3月4日(金)17時11分
青葉やまと

これとは別に、同じハリコフの車載カメラが捉えた映像では、路上にクラスター弾とみられる爆弾が着弾している。大音響が響き、目の前に閃光が走るなか、運転手は必死で車をUターンさせた。


ほかにも東部の蒸溜所を狙った爆撃など、民間施設をターゲットにした破壊行為の証拠映像が続々と収集されている。べリング・キャットはSNS映像の保存を専門に手掛けるNGOなどと連携し、着々と証拠の保全を進めている。

軍事的ターゲットから民間へシフト

イギリスの人道弁護士でウクライナ在住のウェイン・ジョーダッシュ氏は英スカイ・ニュースに対し、思うように進まない戦局に苛立ったロシアが徐々に民間への攻撃にシフトしているとの見方を示している。「軍事ターゲットを狙っていたロシアが徐々に目標物にこだわらなくなり、あるいは故意に民間インフラを狙うことで、民間人を恐怖させ支配するように変化してきています。」

民間人を意図的に狙う行為も戦争犯罪に該当する。国連は戦争犯罪を、市民または敵の戦闘員に対して武力衝突中に行なわれる、国際人道法上の重大な違反行為だと定義している。

戦争犯罪など重大犯罪について定めた「国際刑事裁判所に関するローマ規程」では、「手段を問わず、無防備かつ軍用でない町、村、住居あるいは建物を攻撃または爆撃すること」を戦争犯罪のひとつに挙げている。ロシアは住宅地に対しクラスター弾とみられる兵器で攻撃を加えており、明らかに戦争犯罪に該当するものだ。

なお、ロシアは事前の合意に反し、国際刑事裁判所ローマ規程を批准しないと宣言したが、同規定への署名は行っている。

これとは別に、今日の戦争犯罪の概念の礎となった1949年のジュネーブ条約も参考になるだろう。同条約ではでは具体的に、民間人の意図的な殺害、捕虜の殺害、拷問、人質を取ること、民間人の財産を不必要に破壊すること、略奪、大量虐殺または民族浄化などを戦争犯罪の例に挙げている。

ウクライナ隣国・ルーマニアのニュースメディア『ZMEサイエンス』は、「こうした定義に照らして、ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を犯していることはほぼ疑いようがない」と断じる。

人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、ウクライナへの侵攻自体が国連憲章への違反であり、国際法に反する侵略行為であると述べている。

国際裁判での追及なるか

ロシア軍の戦術は、すでに国際的な非難の的となっている。イギリスのジョンソン首相は「(プーチンが)すでに野蛮な戦術を使い、市民が住む複数のエリアを爆撃したことは疑いようもない。ロシアの猛攻撃に加担するものは誰であれ、これらすべてに関する証拠が収集され、国際刑事裁判所に向けた訴訟手続きなどで今後用いられることを認識しておくべきだ」と警告した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、対中関税軽減も TikTok売却承認な

ワールド

デンマーク首相、グリーンランド併合を断固拒否 米に

ビジネス

米国株式市場=急落、ダウ1679ドル安 トランプ関

ワールド

関税に対する市場の反応、想定されていた=トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 2
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のために持ち込んだ?
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 6
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中