プーチン逮捕・起訴に向けて、国際社会の反撃──戦犯の証拠保全が活発化
これとは別に、同じハリコフの車載カメラが捉えた映像では、路上にクラスター弾とみられる爆弾が着弾している。大音響が響き、目の前に閃光が走るなか、運転手は必死で車をUターンさせた。
A dashcam video, filmed 100 m from a children's hospital in Kharkiv (we confirmed the geolocation) shows what we believe is the impact of a cluster munition.
— CIT (en) (@CITeam_en) February 25, 2022
As no aircraft can be heard in the video, it was probably launched by a MLRS.https://t.co/VMPCPH1n6j
ほかにも東部の蒸溜所を狙った爆撃など、民間施設をターゲットにした破壊行為の証拠映像が続々と収集されている。べリング・キャットはSNS映像の保存を専門に手掛けるNGOなどと連携し、着々と証拠の保全を進めている。
軍事的ターゲットから民間へシフト
イギリスの人道弁護士でウクライナ在住のウェイン・ジョーダッシュ氏は英スカイ・ニュースに対し、思うように進まない戦局に苛立ったロシアが徐々に民間への攻撃にシフトしているとの見方を示している。「軍事ターゲットを狙っていたロシアが徐々に目標物にこだわらなくなり、あるいは故意に民間インフラを狙うことで、民間人を恐怖させ支配するように変化してきています。」
民間人を意図的に狙う行為も戦争犯罪に該当する。国連は戦争犯罪を、市民または敵の戦闘員に対して武力衝突中に行なわれる、国際人道法上の重大な違反行為だと定義している。
戦争犯罪など重大犯罪について定めた「国際刑事裁判所に関するローマ規程」では、「手段を問わず、無防備かつ軍用でない町、村、住居あるいは建物を攻撃または爆撃すること」を戦争犯罪のひとつに挙げている。ロシアは住宅地に対しクラスター弾とみられる兵器で攻撃を加えており、明らかに戦争犯罪に該当するものだ。
なお、ロシアは事前の合意に反し、国際刑事裁判所ローマ規程を批准しないと宣言したが、同規定への署名は行っている。
これとは別に、今日の戦争犯罪の概念の礎となった1949年のジュネーブ条約も参考になるだろう。同条約ではでは具体的に、民間人の意図的な殺害、捕虜の殺害、拷問、人質を取ること、民間人の財産を不必要に破壊すること、略奪、大量虐殺または民族浄化などを戦争犯罪の例に挙げている。
ウクライナ隣国・ルーマニアのニュースメディア『ZMEサイエンス』は、「こうした定義に照らして、ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を犯していることはほぼ疑いようがない」と断じる。
人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、ウクライナへの侵攻自体が国連憲章への違反であり、国際法に反する侵略行為であると述べている。
国際裁判での追及なるか
ロシア軍の戦術は、すでに国際的な非難の的となっている。イギリスのジョンソン首相は「(プーチンが)すでに野蛮な戦術を使い、市民が住む複数のエリアを爆撃したことは疑いようもない。ロシアの猛攻撃に加担するものは誰であれ、これらすべてに関する証拠が収集され、国際刑事裁判所に向けた訴訟手続きなどで今後用いられることを認識しておくべきだ」と警告した。