最新記事
ヘルス

まさか脳トレがほぼ無意味なんて...... 認知症になっても進行が遅い人が毎日していたことは?

2022年3月2日(水)18時59分
和田秀樹(国際医療福祉大学大学院教授) *PRESIDENT Onlineからの転載
笑顔で家族とトランプをするシニア男性

認知症になっても進行が遅い人が毎日していたこととは── *写真はイメージです imtmphoto - iStockphoto


老年医学の専門家である和田秀樹氏は「40歳こそ老化の始まり。この年代から『足りないものを足す健康法』へのシフトが重要だ」と説く。このたび上梓したセブン‐イレブン限定書籍『40歳から一気に老化する人、しない人』より、その一部を特別公開する──

※本稿は、和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

70代こそ肉を食べよう

20代、30代の人がスキーで転倒して足を骨折し、病院のベッドで1カ月寝たきりの生活をしたとしても、退院すればまもなく普通に歩くことができるようになります。

しかし70代ではそうはいきません。寝たきりの生活が続くと筋力が低下し、骨折が治ったあとも、「立つ」「歩く」といった日常生活に必要な動作に支障をきたすようになり、介護が必要になるリスクが高くなってしまいます。

こうした「ロコモ(ロコモティブシンドローム=運動器症候群)」が目立ってくるのも、70代からの特徴です。

70代こそ意識して体を動かす必要があるのですが、前頭葉が萎縮(いしゅく)し、動脈硬化もかなり進行していますから、なかなか動こうとしない人が増えてきます。これは男性に顕著な傾向です。男性ホルモンが減り、行動意欲が失われているからです。

したがって、歳をとればとるほど、毎日の食事を通じて男性ホルモンの材料になる肉やコレステロールを摂取する必要があります。コレステロールは主要な男性ホルモンである「テストステロン」の材料であり、コレステロールが気になるからとこれを減らすのは、ホルモン医学の立場で言えば、まったくの逆効果でしかありません。

女性ホルモン補充で骨粗鬆症予防を

女性の場合、男性ホルモンが増加するので、むしろ元気になる人が多いのですが、その一方で女性ホルモンが減るため、それにともなう問題がないわけではありません。女性ホルモンが減ることの弊害としては、肌つやが悪くなることのほか、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の原因にもなることがわかっています。

骨粗鬆症を防ぐには適度な運動をし、戸外を散歩するなどして日光によく当たること、あるいはビタミンDが多く含まれている食品をとるなど、ごく常識的なことをする心がけが必要です。

日に当たらない生活があまり長く続くとうつになりやすいのは、広く知られているとおりです。日光浴は、うつ病や不眠症を予防し、骨粗鬆症の予防にもなる70代女性にとっての格好の健康法なのです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏

ビジネス

金、3100ドルの大台突破 四半期上昇幅は86年以

ビジネス

NY外為市場・午前=円が対ドルで上昇、相互関税発表

ビジネス

ヘッジファンド、米関税懸念でハイテク株に売り=ゴー
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    「関税ショック」で米経済にスタグフレーションの兆…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中