ウクライナが誇る世界最大の航空機、ロシアの攻撃で破壊される
機の操縦には全6名のスタッフを要し、着陸時には計16対32輪を装備したランディングギア(降着装置)が、250トンという世界最大の積載重量を支える。自重を含めた最大離陸重量は、世界最高の640トンとなっている。
搬送能力に優れるAn-225は、災害後の復旧活動にも多大な貢献をしてきた。ウクライナのキエフ・ポスト紙は、2011年の東日本大震災では140トンの人道支援物資や発電機などを積み、支援元のフランスと成田空港とを結んだと紹介している。前年のハイチ地震では日本の自衛隊がチャーターし、重機などを現地に届けた。
ソ連版スペースシャトル計画から誕生
An-225は首都キエフのアントノフ社が設計し、1988年に初フライトをこなした。元々はソ連版のスペースシャトルにあたるブラン計画において、オービター(宇宙往還機)の輸送役として開発されている。
ソ連崩壊後に計画が撤回されると、An-225はしばしの休眠期間を経て、大型貨物輸送機として再び空に舞い戻る。ZMEサイエンスによるとAn-225は、超大型ボディという点だけでなく、輸送面でも数々の記録を打ち立てた。
2009年には189トンの発電機をアルメニアに届け、単品貨物としての最大重量記録を更新した。翌2010年には、中国からデンマークまで風力発電用のタービンブレード2枚を空輸し、世界最長の航空貨物輸送記録を樹立している。
ウクロボロンプロム社は、こうして数々の記録を樹立し人々に愛されてきたAn-225の再建を、このように誓っている。「侵略者はこの航空機を破壊したが、私たちに共通の夢までを打ち砕くことはできない。ムリーヤは確実によみがえることだろう。」
ムリーヤはウクライナ語で「夢」を意味する。ウクライナが世界に誇る同機の修復は、人々の希望の象徴ともなっているようだ。