ウクライナ支援、仮想通貨で85億円の義援金集まる ロシアのアート集団もNFTチャリティーに協力
ウクライナのデジタル変革省が仮想通貨14種類で寄付を受け付けた
<ウクライナ軍の防衛活動とインフラ復旧を支援しようと、仮想通貨やNFTなどの先端技術を通じて善意が集まっている>
ウクライナへの仮想通貨による義援金が、3月28日時点で6900万米ドル(約85億円)に達した。義援金はウクライナ・デジタル変革省が公式に募集しているもので、ビットコインをはじめ代表的な仮想通貨14種類で寄付を受け付けている。
フョードロフ副首相兼デジタル変革相は、日本時間20日時点で寄付額が6000万米ドル(約72億円)を突破したのを受け、「仮想通貨のコミュニティよ、あなたたちは最高です!」と謝意を示した。
Dear crypto community, you are awesome! We are grateful for such a massive support. Every donation matters. Our Crypto Fund has just reached $60 mln. Cryptocurrencies do real impact. https://t.co/7GVYGniGXh
— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) March 20, 2022
ツイートを通じ、「これだけの莫大な支援に、私たちは恩義を感じています。寄付の一件一件に大切な意味があります」「仮想通貨は絶大なインパクトをもちます」と述べている。寄付金は、防弾チョッキや食料などの購入を通じ、ウクライナ軍の活動の支援に充てられる。
ウクライナではこれまで仮想通貨取引の合法化が議論されていたものの、直近までは合法でも違法でもないグレーゾーンとなっていた。ゼレンスキー大統領は3月16日、新たな合法化法案に署名。これにより、暗号資産の合法化が実現した。
NFTの販売益で巨額を調達
今回の資金調達にあたり、話題のNFT(非代替性トークン)の販売益が大きく貢献している。敵対国であるロシア側のアート集団も、義援金の募集に協力した。
NFTとは、アートなど特定のモノの所有者であることをデジタル技術で証明するしくみだ。所有権を購入しても作品が物理的に手元に届くわけではないが、人気作品の場合は公式なオーナーとなりたい人々が殺到し、高値で競り落とされることがある。
ウクライナ侵攻開始の翌日、投資グループ、NFT専門機関、そしてロシアのアーティスト集団「プッシー・ライオット」の三者が「ウクライナDAO」と呼ばれる資金調達活動を共同で立ち上げた。アート作品の所有権をNFTとして販売したところ、米ドル換算で300万ドル(約3億6000万円)の寄付をわずか3日間で集めている。
この企画は、ウクライナ出身・ロンドン在住のアーティストであるアローナ・シェフチェンコ氏が発案したものだ。彼女は仮想通貨ニュース媒体のコインデスク誌に対し、ウクライナの街が爆撃されていると現地の友人から連絡を受けたことで、行動を起こしたいと考えたと語っている。
NTFアート収集家たちが集まる自主組織「PleasrDAO」に連絡をとったところ、「たくさんの素晴らしい人々が、私を助けようと(企画に)飛び込んできてくれたのです」と彼女は振り返る。ロシアのアーティストも企画に賛同し、作品を提供した。こうして3億6000万円が集まり、ウクライナ政府の募金企画に寄付された。