プーチン、ゼレンスキー双方がのめる和平合意案、5つの条件
HOW TO END THE WAR
ウクライナ北西部の街ジトーミルで破壊された学校(3月4日) VIACHESLAV RATYNSKYI-REUTERS
<ウクライナの抗戦は見事だが、このままでは犠牲者が増えるばかり。両国が合意し、この戦争を終わらせる和解案とは何か>
ウクライナにおける戦争で、はっきりしてきたことが1つある。誰が勝とうと、あらゆる方面にとって悲惨な終わり方になることだ。
たとえロシアがウクライナの首都キエフを制圧して、ロシアの傀儡政権を誕生させても、大掛かりな反政府活動が続くだろう。それは多方面から資金を得て数年続き、さらに多くのロシア兵の命を奪う。
一方、ウクライナがこのまま抵抗を続ければ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は爆撃を強化して、さらに無数の市民が犠牲になる。
ウクライナとベラルーシの国境地帯で何度も「和平協議」が開かれてきたが、いつもロシア側が到底受け入れられない条件を突き付け、ウクライナ側がそれを拒否して終わる。
だが、いつかは消耗戦に終止符を打ち、和解に達しなければならない。
そのための合理的な条件とは何か。
カギは、この戦争を始めたプーチンに見返りを与えることなく、ロシア国内では勝利だと宣伝できるものを与えてやることだ。
だが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が降伏したように見えてはならない。正義の側に立ち、勇敢に国民を指揮したことについて見返りを与えられるべきだ。
この条件を満たす和解案を考えてみよう。
和解に向けた5つの条件
■1:ウクライナがNATO加盟を断念する
プーチンはウクライナに侵攻する理由を、ウクライナがアメリカ主導の(そして反ロシアの)軍事同盟であるNATOに加入しようとしているからだと正当化した。ということは、ウクライナがNATOに加盟しないと約束すれば、ロシアの勝利だとプーチンは喧伝できる。
一方、ゼレンスキーは最近、NATO加盟への情熱が薄れてきたと発言した。いくら申請してもNATO側が認めてくれないからだ。だから彼はこれを敗北ではなく、現実的な譲歩だと説明できる。
ただしウクライナは、NATO加盟国を含む個別の国々と安全保障上の取り決めを結び、武器を購入したり軍事的な訓練を受けたりできなければならない。
その一方で、ロシアが射程に入るミサイルや核兵器は、製造も配備もしないと約束する。ウクライナはそのどちらにも意欲を示していないから、これはゼレンスキーにとって譲歩にならない。
だがプーチンは、ウクライナはその両方をやると主張してきたから、この約束を自らの勝利と言える。
和平合意は、ウクライナのEU加盟申請には触れるべきではない。
プーチンはNATOよりむしろウクライナがEUに加盟し、旧ソ連の国でも西側民主主義の国になれるとロシアの人々に示すのを警戒しているという声もある。もしそうなら、和平合意を結んでも、その懸念は小さくならないだろうが。