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平野歩夢の「超大技」はなぜ低得点に? 元五輪審判が語る不可解採点の「妥当性」

Making Sense of the Judging

2022年2月19日(土)18時52分
ジャスティン・ピーターズ(ジャーナリスト)

「悪意に基づく採点」ではなかった

そして4人が、平野にジェームズより低い得点をつけた。ではジャッジたちは平野のスコアを出す前に「話し合い」をしたのだろうか? マニングによれば、ジャッジたちが他のジャッジの得点に影響をおよぼそうとすることは考えにくいという。

「ジャッジ席で、滑りや順位について手短に議論することは確かにある。だが裁量権は各ジャッジたちにあるし、最終的にどんな点をつけてもいい」

怒り心頭の解説者リチャーズと世界中の多くのファンたちの見方では、ジャッジは判断を間違えた。しかしマニングから見れば、あれは悪意に基づく採点ではなかった。ジャッジたちは、報酬のためではなく純粋に競技への愛から、極度のプレッシャーと責任がのしかかるこの仕事を引き受けているからだ。

マニングによれば、「オリンピックのジャッジに支払われる額は、ハンバーガー屋で8時間働くのよりも少ない」と言う。

それでも、もしマニングがアメリカの自宅でテレビ観戦する代わりに審査員席に座っていたとしたら、平野の2本目にどんな得点をつけた? この質問に、彼はこう答えた。「自宅のソファで審査員ぶって直感で採点するなら、私だったら歩夢にトップの点数をつけていただろうね」

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