マスク着用ほぼ終了、カフェでのワクチンパスポートも不要に スイス、コロナ規制大部分を解除
ただし3月31日までは、検査の陽性者は引き続き隔離が必要で、公共交通機関や医療機関でのマスク着用義務は引き続き実施となる(高齢者施設や養護施設の入居者は着用免除)。状況により、この措置は早期に解除される可能性はある。
4月から「通常の状態」に戻る予測
検査に関しては、企業で実施している反復検査は医療機関などを除き、政府による費用負担が終了する。学校については、若年層におけるウイルス感染が依然として非常に高いため、政府は反復検査を推奨し、その費用負担は3月末まで継続する。個人は、抗原検査は無料で、PCR検査は症状がある人や濃厚接触者も引き続き無料となる。
政府による経済支援措置も、2月17日よりほとんど廃止になるため、廃業、イベント禁止、労働時間の短縮などで生じた損失は請求できなくなる。イベント関係者については、6月30日まで支援は継続される。
そして、今後も感染状況が落ち着いていけば、長く続いた「特別事態」が3月末には終了となり4月から「通常の状態」へと戻ることになる。スイスでは感染症法により、国民の感染症対策のための状況を3段階(通常の状態、特別事態、非常事態)に規定している。
スイス公共放送の2月16日夜のテレビニュースでは、あるフィットネススタジオを取材した様子を放映していた。スタッフは「措置が緩和になって、ものすごく嬉しいです。今夜は館内に貼った感染措置ポスターをはがし、パーテーションを取り外し、床に貼ったソーシャルディスタンステープもはがさないといけないです」と喜んでいた。筆者は16日、友人とカフェで会った際、COVID証明を提示しマスクを着用した(着席時は着用不要)が、17日からはそれももう不要だ。筆者は公共交通機関以外でも、しばらくは着用するつもりでいるが。
コロナはもう脅威ではない
フリーペーパーの20 MinutenとメディアグループTamediaが2月10日~13日に実施したアンケート結果によると、68%の人が「コロナはもはや深刻な脅威ではない」という意見だった。感染が拡大した最初の頃は、そう考える傾向は若い人が強かったが、いまは50歳以上の人のほぼ60%が感染を楽観的にとらえているという(全国で1万1411人が回答)。
スイスでは、新型コロナウイルス感染がこの第5波をもってようやく落ち着いたと判断されたわけだが、もちろん終息したわけではない。専門家は、ネガティブに予測すれば今秋に別の変異株が広がり、感染措置が再び実施される可能性もあると指摘している。自宅に保管しているマスクを新型コロナウイルスではなく、花粉症対策として使えるようになる日はいつ来るだろうか。
[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com