「祖父の薬で陽性反応」 ワリエワ側の主張はありえない
Kamila Valieva's Grandpa's Meds Defense 'Highly Unlikely': Doping Expert
コズメンコは聴聞会で別のシナリオも提示した。ワリエワの祖父がなにかの表面に薬を置き、「痕跡が残った」ところを触ったワリエワが、何らかの形で無意識のうちに成分を摂取した可能性がある、というものだ。その可能性について問われたカトリンは、またしても懐疑的な態度を示した。
「仮に錠剤がなにかの表面に並べられて、後からやってきた人が、薬が置かれていた場所を手で触れたとしても、薬物検査に引っかかるほどの物質が体内に移動する可能性は極めて低い」と彼は語った。
ニューヨーク・タイムズ紙が15日に報じたところでは、仲裁裁判所で13日に行われたワリエワの聴聞に提出された文書で、彼女の体内には心臓病の治療に使われる3種類の物質があったことが明らかになった。禁止薬物はトリメタジジンのみだったが、持久力を高め、より高い酸素効率をもたらすために、3種類の薬物を組み合わせて服用した可能性がある。
ワリエワの検体からトリメタジジンに加え、ヒポクセンとL-カルニチンという2種類の成分が検出されたという報告を受けて、「一般の人々は、15歳という年齢の子供に、なぜ心臓の治療薬が1種類だけでなく、3種類も必要なのかと思うだろう」とカトリンは述べた。
かなり無理なこじつけ
2021年の調査で、ポーランドの処理済み廃水サンプルからトリメタジジンを含む微量の医薬品が検出されたことをカトリンは指摘した。また、米環境保護庁の発表では、処理済み廃水で灌漑された作物が医薬品に汚染される可能性があることが示されている。
「少し前に、アメリカの陸上選手のキス事件に取り組んだ」と、カトリンは付け加えた。「この選手は過失のないことが認められ、処分が撤回された。陽性反応が出たのは、選手の恋人が禁止成分の入った風邪薬を服用したせいだった。恋人はカプセルを飲むことが苦手だったため、カプセルから薬を取り出して口のなかに入れて飲み込んだ。その後、選手と熱いキスを交わした。それが原因で、禁止成分が体内に入った、と選手は主張した」
しかし、祖父の薬が原因だというワリエワの弁明は、かなり無理のあるこじつけに思える、とカトリンは言った。
「この場合、テーブルの表面やコップの中にわずかな薬の残留物があったとしても、それが薬物検査で検出されるような量の摂取につながる可能性は極めて低いと考えなければならない」
<追記>CNNなどの最新の報道では、薬物の効果を最大限に引き出すために15歳のワリエワが3つの薬物を組み合わせて飲むとは考えにくく、周囲の大人が関与した疑いが強いとしている。
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