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医療世界初、新型コロナのヒト感染試験 健康な若年成人への安全性確認、ワクチン開発加速へ
欧州の製薬サービス会社オープン・オーファンは、世界で初めて参加者を意図的に新型コロナウイルスに感染させるヒト臨床試験を行い、健康な若年成人に対する安全性が確認されたと発表した。写真は新型コロナウイルス感染症のイメージ。2020年1月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)
欧州の製薬サービス会社オープン・オーファンは2日、世界で初めて参加者を意図的に新型コロナウイルスに感染させる「ヒューマン・チャレンジ」と呼ばれるヒト臨床試験を行い、健康な若年成人に対する安全性が確認されたと発表した。
こうしたヒト感染試験は、マラリア、インフルエンザ、腸チフス、コレラといった病気の研究や治療薬・ワクチン開発に利用されてきた。
今回、安全性が確認されたことで、新型コロナの新たなワクチンや治療薬の試験に向けた研究の土台となる可能性がある。
オープン・オーファンはインペリアル・カレッジ・ロンドン、英政府のワクチン作業部会、臨床企業のhVIVOと共に1年前にプロジェクトを開始。
18歳から29歳の健康な男女36人にオリジナルの「SARS─CoV─2」株を感染させ経過を観察した。その結果、深刻な事態は起きず、健康な若い成人を対象としたヒト試験モデルの安全性と忍容性の高さが示されたという。
モデルが確立されたことで、2022年に新型コロナのヒト試験を当局の承認を得た上で契約・実施できるようになるとしている。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者は、新型コロナのデルタ株を使った試験を近く開始すると表明。こうした試験はワクチンのほか、抗ウイルス薬や診断薬の迅速な開発の重要な手段になり得るとし、試験の枠組みを世界的に広く提供するとしている。
英国ではこれとは別に、オックスフォード大学が免疫の理解を深めることを目的に再感染を巡るヒューマン・チャレンジを昨年4月に開始している。
今回の試験によると、発症は感染から平均2日後で、まず喉に感染する。感染性ウイルスがピークに達するのは感染から約5日後で、この段階では喉よりも鼻に大量のウイルスが付着している。
感染性ウイルスの有無については「ラテラルフロー検査」(LFT)が有効で、ウイルスを移す可能性を判断できるという。
感染したボランティアは18人で、うち16人が軽度・中程度の風邪のような症状を示した。鼻づまり、鼻水、くしゃみ、喉の痛みがあったという。
一部の感染者は、頭痛、筋肉痛・関節痛、倦怠感、発熱を訴えた。重症化した人はいなかった。
13人は一時的に嗅覚を失ったが、10人は90日以内に正常化した。残り3人も90日以降に改善が見られているという。
肺への影響はなく、重篤な有害事象もなかった。1人が6カ月後まで軽い嗅覚障害を訴えたが、その後は改善しているという。
研究者は今後、一部の参加者が感染しなかった理由などを調査する。
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