最新記事

UFO

もはやオカルトの域を越えた 米国防総省がUFO調査局を新設へ

2022年1月17日(月)15時57分
青葉やまと

公式には2012年に終了したはずの同プログラムだが、その後も水面下で実質的に継続しているとの噂が絶えない。ニューヨーク・タイムズ紙は2017年、一部職員が本業と兼任する形で、依然として未確認飛行現象の調査を続けていると報じている。

さらに以前には、米空軍が1947年から1969年にかけ、1万2000件にのぼるUFOの目撃証言を収集・調査してきた。ほとんどは航空機や星などを誤認したものであったが、700件ほどはいかなる既知の科学現象でも説明のつかないものであったと結論づけられている。

調査の進展に期待も、課題は隠ぺい体質

今後、異常現象監視・解決局が公式に設立されることで、これまで表立った調査がはばかられてきた事象の研究が加速するとの期待がある。一方で、UFO研究家たちの胸中は複雑だ。仮に地球外生命を示す何かが発見されたとしも、ペンタゴンの隠ぺい体質によって闇に葬られるのではないか、との失望感がすでに漂う。

世界最大規模のUFO研究組織であるミューチュアル・UFOネットワークのスポークスパーソンは、NBCに対し、「この分野が秘密状態にあることは歴史的に明らかであり、新たな透明性が盛り込まれない限りはすべて、より一層のあるいは不適切なコントロールの下に置かれることでしょう」と不信感を示す。

米政治専門紙『ヒル』への寄稿記事によると、米国防総省でUFOの目撃例収集を率いてきたルイス・エリゾンド氏は、「このトピックについてあと70年秘密にしておきたいのなら、(新組織を管轄する)情報・安全保障担当国防次官室は完璧な場所だ」と皮肉混じりにコメントしているという。

未確認飛行現象が海外の兵器であったとしても、または地球外からの来訪者であったとしても、情報が公開されるのは相当先になる可能性がありそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中