最新記事

仮想通貨

ビットコイン長期保有者、ついに「利確」開始か...オンチェーン分析で明らかに

2022年1月27日(木)17時00分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)
ビットコインとドル紙幣

Velishchuk-iStock

<ビットコイン価格は昨年11月から下落が続いているが、実際に将来的な成長を確信する人が減少している傾向も、データからも明らかになってきた>

2022年に入っても冴えない展開が続くビットコイン相場だが、オンチェーン的にも気になるデータが出てきました。クラーケン・インテリジェンスの1月のレポートによりますと、ビットコインの成長に確信を持つ層とみられる長期保有者の蓄積ペースが遅くなりました。また、ビットコインとイーサリアムのアクティブなアドレスの数も減少したことが確認されました。確かに投資家心理が最近弱気になり始めているようです。

オンチェーン分析は、仮想通貨の取引量やアドレス数などブロックチェーン上で確認できる取引記録の傾向を分析して現在の相場動向を読み解く手法です。今回は、「古いコイン(Old Coin)・若いコイン(Young Coin)」の分析とアクティブアドレス数の推移について解説します。

「古いコイン(Old Coin)・若いコイン(Young Coin)」

クラーケン・インテリジェンスは、ある一定期間で動かなかったビットコイン供給量の全体に占める割合をビットコインの「ホドルウェーブ」と読んでいます。HODL(ホドル)は、長期保有者を意味し、日本では「ガチホ」と呼ばれています。

ブロックチェーン分析企業Glassnodeのデータを基に、クラーケン・インテリジェンスが以下のようにホドルウェーブを分類しました。

古代のコイン・失われたコイン(>5年):5年以上移動がなかったコインです。ほとんどの場合、失われたコインと考えられます。ビットコインの長期的な価値を重視する保有者が増えていることから、今後「昔のコイン・失われたコイン」の割合が増える可能性がありますが、5年以上全く動かさないケースは極めてまれです。

古いコイン(6ヵ月〜5年):6ヵ月から5年間移動がなかったコインで、長期保有者と考えられます。長期保有者は、弱気相場で蓄積し、強気相場が頂点に到達したと考える時に売る傾向があります。

若いコイン(0〜6ヵ月):移動なしの期間が6ヵ月未満のコインです。トレーダーやビットコインを支払い手段として使う短期保有者が多いと考えられます。

220125kr_ocr02.jpg

(出典:Kraken Intelligence, Glassnode「ビットコイン価格(紺)、古いコイン(赤)、若いコイン(青)」)

ビットコインのホドルウェーブを見ると、長期保有者が2021年4月からビットコインの蓄積をしていましたが2021年11月ごろに利益確定の売りを始めた可能性があります。

2021年4月30日から2021年11月22日の間、古いコインの全体に占める割合は12.11ポイントプラスし52.97%まで上昇。一方、若いコインの割合は13.6ポイント低下し、2015年10月以来で最低となる24.1%を記録しました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザで子どもの遺体抱く女性、世界報道写真大賞 ロイ

ビジネス

アングル:日経平均1300円安、背景に3つの潮目変

ワールド

中東情勢深く懸念、エスカレーションにつながる行動強

ワールド

ウクライナ中部にロシアミサイル攻撃、8人死亡 重要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中