2月北京五輪、11月カタールW杯は? ジョコビッチ・ワクチン騒動の影響続く
全豪オープンの会場には前回王者ジョコビッチの大きな写真が…… LOREN ELLIOTTーREUTERS
<結局、未接種だったジョコビッチは全豪オープンに出場できず、世界中の話題をさらったビザ問題は終結したが、今後のスポーツ大会に影響を与えると専門家は警告>
ノバク・ジョコビッチは、新型コロナワクチンの未接種を理由にオーストラリアから強制送還され、全豪オープンでグランドスラム(4大大会)通算21度目の優勝を果たすという夢を断たれた。
これで世界中の話題をさらった査証(ビザ)問題に終止符が打たれたが、この一件は今後のスポーツ大会に影響を与える可能性があると、専門家は本誌に語る。
全豪オープンが1月17日にメルボルンで開幕する直前、男子テニス世界ランク1位のジョコビッチはオーストラリアを後にした。
12月のコロナ感染がワクチン接種免除の根拠になるとして、ジョコビッチは大会出場と滞在許可を求めてオーストラリアの裁判所に訴えていた。
だが、裁判所はホーク移民相のビザ取り消し決定を支持した。
同相はオミクロン株によるコロナウイルス感染が急増している今、ジョコビッチの大会参加は公共の秩序を脅かし、反ワクチン感情を助長しかねないと主張していた。
ワクチン接種がスポーツ大会の参加条件としてもっと一般的になれば、今後も同様の争いが起こる可能性が高いと、オレゴン大学のジョシュア・ゴードン上級講師(スポーツビジネス)は言う。
「接種義務に従うか否か、その判断が有名選手の大会参加に影響を与えるかもしれない」
ジョコビッチが5月の全仏オープンに出場できるかどうかも、疑問視する声が出ている。
フランスのスポーツ相は1月初め、大会は選手や関係者を隔離する「バブル方式」で開かれるので、出場は許可されるだろうと述べた。
だが元内相のクリストフ・カスタネール議員は、スポーツ会場やレストランなど公共の場へのワクチン未接種者の立ち入りを禁止する新しい法律は、全仏オープンの出場希望選手にも適用されると発言。スター選手への「優遇措置」はないと、ジョコビッチを名指ししたツイートで述べた。
スポーツ大会の主催者はワクチン接種義務化について、感染拡大による試合の中止または延期がもたらす経済的影響を気にしていると、ラフバラ大学ロンドン・スポーツビジネス研究所のジェームズ・スキナー所長は語る。
「多くのスポーツ団体は商業的見地から、このアプローチを考えていると思う」
ただし、注目選手の不在も大会の収益に影響を与える可能性がある。「もしビッグネームが欠場すれば、入場料収入、放映権、スポンサー契約など収益がらみの問題が発生する」と、スキナーは言う。