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裏切り、内輪もめ、スキャンダル、失言...韓国・大統領選挙の大混乱

Right Lags in Korean Race

2022年1月12日(水)17時11分
ネーサン・パク(弁護士、世宗研究所非常勤フェロー)

妻の経歴詐称疑惑が発覚して、権力と闘う信念の人というイメージにも傷が付いた。昨年12月、文が電撃的に朴の赦免を発表し、リベラル派への反感のガス抜きをしたことも尹の気勢をそぐ形になった。

その結果が劇的な内部対立だ。支持率で大差をつけていた尹の優勢は昨年末までに消えうせ、大半の世論調査で李が逆転トップに。国民の力党代表の李は、自らのリーダーシップを尹陣営幹部に無視されたと怒って、選挙対策委員会から離脱した。

今年1月3日には、尹の選挙戦を率いる金鍾仁(キム・ジョンイン)が選対の解散・再編を発表。当分の間、尹の公の場への登場が差し止められることになった(編集部注:1月6日に尹と党代表の李が議員総会で突如和解し、李に代表辞任を求める決議案も撤回された)。

尹陣営の立て直しは間に合うのか。本稿執筆時点では、大半の世論調査で李の支持率が尹を7~9ポイント差で上回っている。とはいえ李が安心するのはまだ早い。韓国政治に、確実な予測は存在しないのだ。

尹がダメージを回復できれば、選挙戦は再び激戦になる可能性がある。カギを握るのは2月1日の旧正月だ。

韓国ではこの日、国民の多くが家族で集まり、政治を論じ合って考えを決める。それまでに尹が差を縮めていたら、3月9日にはスリリングな展開が待っているはずだ。

From Foreign Policy Magazine

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