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金魚は、自走式の水槽を「運転」できる

2022年1月11日(火)17時09分
松岡由希子

金魚は「自走式水槽」を移動させ、餌を得ることに成功した...... YouTube-LiveScience

<イスラエルの研究チームは、金魚の動きに合わせて移動する自走式の水槽「FOV」を開発。金魚が目標に向かって移動できるか実験を行った>

金魚が自走式の水槽を自在に操り、目標に向かって移動できることがわかった。イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学の研究チームは、「動物の先天的なナビゲーション能力は万能なのか、それとも環境によって制約を受けるのか」を検証するべく、金魚の動きに合わせて移動する自走式の水槽「FOV」を開発し、体長15~18センチ、体重80~120グラムの金魚6匹を用いて実験を行った。

一連の研究成果は、2021年12月9日、行動神経科学の学術誌「ビヘイビアラル・ブレイン・リサーチ」で発表されている。

金魚が外側に向いて水槽壁面に近づくと、その方向に移動

「FOV」は、全方位移動型車輪を四隅に装着した縦横40センチ、高さ19センチの金属の筐体に縦横35センチ、高さ28センチの透明な水槽を置いたものだ。上部にはカメラやLiDARセンサー、コンピュータを実装している。

カメラとLiDARセンサーが「FOV」の現在地のほか、水槽内の金魚の位置や方向をリアルタイムで追跡し、コンピュータが金魚の動きの特性や位置、方向を分析して「FOV」を制御する仕組みだ。金魚が外側に向いて水槽の壁面に近づくと「FOV」はその方向に移動する一方、内側を向くと停止する。


研究チームは数日間、それぞれの金魚に「FOV」の操作方法を訓練した後、三方に白い壁、一方に窓がある縦3メートル、横4メートルの空間に金魚が入った「FOV」を置いて実験を行った。この実験では、縦60センチ、横40センチのピンクの波板を目標物として配置し、「FOV」がこの目標に到達すると、金魚が0.002グラムの餌を得る。

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