北京冬季五輪の「バブル方式」、オミクロン株出現で破裂の危機
中国政府は2月の北京冬季五輪で、選手や関係者を外部と接触させない「バブル方式」を徹底する方針だ。写真は五輪のシンボルと、防護服を着た人。北京で昨年12月30日撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)
中国政府は2月の北京冬季五輪で、選手や関係者を外部と接触させない「バブル方式」を徹底する方針だ。しかし、感染力の強い新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が出現し、こうした取り組みは厳しい試練にさらされそうだ。
中国では感染経路の徹底的な追跡、標的を絞った厳しいロックダウン(都市封鎖)、海外からの渡航者の大幅な落ち込みを伴う旅行制限など「感染ゼロ」政策が奏功。新型コロナは2年前の武漢での初の感染確認以来、おおむね抑え込みに成功してきた。オミクロン株の感染確認数も一握りにとどまっている。
だが、2月4日に開幕する北京五輪では海外から2000人余りの選手が入国するほか、2万5000人に上る大会関係者は大半が外国からの入国となる。大会組織委は選手や関係者のうち、どの程度の人数が「バブル」内に入るのか公表していない。
大会組織委の広報担当者は昨年12月30日、「冬季五輪・パラリンピックを安全かつスケジュール通りに行うことは可能だ」と述べ、感染防止策に自信を示した。
大会が開かれる北京と河北省張家口市の規制は、昨夏の東京五輪よりもはるかに厳しい。
計画の中核を構成するのが、選手や大会関係者を国内居住者と物理的に隔てる徹底的なバブル方式。海外からの渡航者は専用機を使って直接バブル内に入り、直接出て行く。
デルタ株の感染者数が世界的に急増していたタイミングで開かれた東京五輪でも、厳しいバブル方式が導入された。ただ、報道関係者やボランティアなど国内居住者はバブルとの出入りが自由で、海外からの入国者の一部も14日間の隔離後で複数回の検査で陰性の結果が出ればバブルを出ることができた。
ところが、これまでの変異株よりもはるかに感染力が強いとみられるオミクロン株の発生で、世界の新型コロナ感染者数は記録的な水準に上昇し、スポーツ大会のスケジュールは混乱している。
北米プロアイスホッケーリーグ(NHL)は、リーグ戦の中止が相次いだことを理由に北京五輪への選手派遣を取りやめると発表。カナダ五輪委の委員長は12月31日、北京五輪が予定通り開催できるか懸念を強めていると述べた。
ロンドン大学の感染症専門家、アイリーン・ピーターソン教授はオミクロン株について「私はときどき短距離走者と呼んでいる。とにかく感染力が強く、感染速度が速い」と話した。