最新記事
キャッシュレス決済デジタル人民元アプリが急拡大、App Storeで5日間首位 決済利用はまだ限定的
大きな注目を集めたデジタル人民元のスマートフォン用ウォレットアプリ配信が始まってから2週間が経つが、ダウンロードが急速に広がる一方で、実際の決済利用は伸び悩んでいる。写真はデジタル人民元のサイン。上海市内の自動販売機で2021年4月撮影(2022年 ロイター/Aly Song)
大きな注目を集めたデジタル人民元のスマートフォン用ウォレットアプリ配信が始まってから2週間が経つが、ダウンロードが急速に広がる一方で、実際の決済利用は伸び悩んでいる。
中国人民銀行(中央銀行)は来月の北京冬季五輪を前に、「e─CNY」とも呼ばれるデジタル人民元の実証実験を加速させている。しかし、利用は実証実験が行われている10の主要都市に限定されており、多くの人が2大決済サービスであるアント・グループの「アリペイ」と騰訊控股(テンセント・ホールディングス) の「微信支付(ウィーチャットペイ)」をなお好んで使っている。
e─CNYは中銀が発行する法定のデジタル通貨。人民銀は1月4日にウォレットアプリの配信を開始した。米調査会社センサータワーによると、8日にはアップルの基本ソフト(OS)「iOS」でのアプリストアで最もダウンロードされた無料アプリとなり、5日連続で首位を維持。これまで250万回以上ダウンロードされたという。
実証実験は上海や深センのほか、冬季五輪の会場など10の主要都市で行われている。当局は五輪のために来訪する外国人に、デジタル人民元の影響力を示したい考え。
PwC中国のシニアエコノミストは「既に定着した決済手段があるため、人々がe─CNYを受け入れ始めるまでに時間がかかる」と指摘。
水道・電気料金、医療費の請求でe─CNYを優先させるなど、利用を促進する方法は多数あるとし、「政府の少しの後押しで大きな違いが出る」と述べた。
【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた