中国・環球時報「編集長」が辞職、過激な「愛国主義」を訴えた男の本心は
そんな胡もごくまれに本音らしき思いを吐露することがあった。もっと自由に書きたい、厳しい縛りなしにさまざまなテーマを取り上げたいという思いだ。とはいえ欧米式の報道の自由を求めていたわけではない。ある程度の編集権の独立を求めていただけだ。
「メディアの仕事はどんどんやりにくくなっている」。既に削除された環球時報電子版の社説で胡は11月にそうぼやいていた。「率直に言って、このところメディアへの統制が強まっている。メディアは信頼され、時代の要請にかなう独創的な報道を行う自由を認められるべきだ」
香港大学報道メディア研究所の中国メディア研究チームは12月16日、胡が左遷され、辞職に追い込まれたと発表した。同チームを率いるデービッド・バンダースキーによると、左遷の理由は不明だが、厳格な編集規律を求める党の意向が働いた可能性がある。
胡の舵取りなしの環球時報は想像しにくい。が、彼の使命は既に終わっていたのかもしれない。
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