最新記事

米中対立

米中衝突の危機リスクを分析ツールで予測へ 米軍、太平洋地域での行動巡り

2021年12月16日(木)14時40分
ヒックス米国防副長官(左)

米軍は、軍需品の売却や米国が支援する軍事活動、台湾など論議を呼ぶ地域への議員訪問など、太平洋地域における米国の行動に対する中国政府の反応を予測するソフトウエアツールを構築した。写真左はヒックス米国防副長官。バージニアで2月撮影(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

米軍は、軍需品の売却や米国が支援する軍事活動、台湾など論議を呼ぶ地域への議員訪問など、太平洋地域における米国の行動に対する中国政府の反応を予測するソフトウエアツールを構築した。

ヒックス米国防副長官は14日にハワイの米インド太平洋軍を訪問した際、この新しいツールについて説明を受けた。

ヒックス氏はカリフォルニア州に向かう軍用機の中でインタビューに応じ、「現状、紛争や課題の範囲がグレーゾーンに広がっている。はるかに幅広い指標を見て、それを組み合わせ、脅威の相互作用を理解する必要がある」と述べた。

国防当局者によると、このツールは「戦略的摩擦」を計算するものだという。2020年初め以降のデータを調べ、米中関係に影響を及ぼした重要な活動を評価する。ある行動が中国の異常な反応を引き起こすかどうかを国防総省が予測するのに役立つとみられる。

中国軍は10月、米国とカナダがそれぞれ台湾海峡に軍艦を派遣したことを非難し、この地域の平和と安定を脅かしていると指摘した。米当局者によると、こうした例などから、米国が自国の行動で不注意に中国の怒りを招かないようにするためのツールの需要が高まっていたという。

米中関係は既に悪化しているものの、このツールは台湾への議員訪問、地域の同盟国への武器売却、台湾海峡の米軍艦航行など、中国の過大な、または意図しない反応を引き起こしかねないさまざまな活動にわたって可視性を提供するものだ。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中