比ドゥテルテ、上院選出馬を撤回 来春の任期満了で政界引退の意向
大統領の任期終了後も政治の世界に留まろうとしていたドゥテルテだったが。 Lean Daval Jr - REUTERS
<大統領から副大統領など、退任後の活動について二転三転したが──>
2022年5月に行われるフィリピンの大統領選挙で同時に行われる上院議員選挙に立候補していたドゥテルテ大統領は12月14日、立候補の辞退を選挙管理委員会に届け出た。
これによりドゥテルテ大統領は任期が切れる2022年5月以降、政治の第一線を退く可能性が高くなってきた。
ドゥテルテ大統領は14日午後5時前、上院議員選挙への出馬を辞退することを表明。また内閣のカルロ・ノグラレス官房長官も声明で「ドゥテルテ大統領は、上院議員を目指して選挙活動するよりも、現在フィリピンが直面している新型コロナのパンデミック対策に専念する」と明らかにし、選挙戦からの撤退を確認した。さらに「ドゥテルテ大統領は来年の選挙が透明で公平性のあるものとするため全力を投じる所存である」ということも強調した。
最大与党の大統領候補者も撤退
ドゥテルテ大統領の上院選辞退声明の前に最大与党「PDPラバン」の大統領候補だったクリストファー・ボン・ゴー上院議員は「大統領選の候補を辞退する」ことを表明し、「PDPラバン」の大統領候補は空席となる事態となった。
ボン・ゴー氏はドゥテルテ大統領の側近で一時はボン・ゴー氏が大統領候補、ドゥテルテ大統領が副大統領候補として正副大統領を同党で独占する動きも見せていた時期もあった。
すでに候補者の入れ替え受付期間は終了しているため、「PDPラバン」としてはドゥテルテ大統領の後任の大統領候補不在のままで選挙戦を戦うことになった。
マルコス氏が有利な状況に
今回のドゥテルテ大統領の上院選辞退、最大与党「PDPラバン」の大統領候補の撤退という事態は、大統領選に立候補しているマルコス元大統領の長男、フェルディナンド・マルコス・ジュニア(愛称ボンボン・マルコス)氏に有利に働くとみられている。
最近の世論調査でもボンボン・マルコス氏は大統領候補者として圧倒的な人気を得ており、ドゥテルテ政権の各種政策の継承を訴えている同氏に与党系、保守系の票が集中することも予想され、大統領選ではかなり有利な状況が生まれたことになる、との見方が強い。
ボンボン・マルコス氏とペアを組んで副大統領選に立候補しているドゥテルテ大統領の長女でミンダナオ島ダバオ市のサラ・ドゥテルテ市長も世論調査で断トツの人気を得ており、現状では「ボンボン・マルコス大統領、サラ副大統領」が誕生する可能性が強くなっている。