最新記事

ペット

ロックダウン生活支えたペットたち、いまや飼育放棄続々 英・独

2021年12月10日(金)20時30分
青葉やまと

ドイツでは、他人を噛むなど飼い犬の問題行動に耐えられなくなった人々からの相談が、飼育施設のもとに殺到している。ケルン南部に位置するある保護施設の代表は、相談の電話が通常の5倍のペースで鳴っていると訴える。

飼い主たちがブームのさなか購入した仔犬たちは、現在いっせいに思春期に差しかかっている。苦労してしつけを終えたはずが、再び指示を聞かなくなるケースが軒並み増えているという。保護施設の代表はドイチェ・ヴェレに対し、飼い主たち全員の忍耐力が高いわけではないと指摘する。「一度問題となれば、その動物に二度目のチャンスを与える人は限られています。」

犬以外に目を向けると、猫や小動物などのペットについては、必ずしもしつけ問題が原因で手放されているわけではないようだ。ただし、やはりコロナ禍の影響はある。飼い主の収入が不安定となることで餌代を捻出できなくなり、飼育を途中で諦めるケースが少なくない。

保護施設は奔走 マッチングアプリで里親探しも

ドイツの一部地域では、居場所を失った犬や猫などの里親探しに、デートアプリのTinderが活躍している。通常は人間同士が使うこのマッチングアプリに、ドイツ・ミュンヘンの動物保護団体は計14匹の犬と猫のプロファイルを登録した。

通常は相手候補のユーザーたちの写真が表示されるが、この取り組みによって人間に混じり、犬と猫の写真が表示される。興味を持ったユーザーがいずれかの動物とマッチングすると、ペットのアカウントを実際に管理している保護団体の職員とチャットができるしくみだ。

プロファイルの文章はユーモラスだ。パリと名付けられたある犬のプロファイルには、「一目惚れできるといいけれど。一夜限りの関係は望まない。知性と忠誠心があります。車に乗るのが好きで、前は少しだけギリシャに住んでいました」と、まるで人間のように略歴を語っている。

アイデアはミュンヘンの広告代理店が考案したものだ。愛情をもって引き受けてくれる新たな飼い主を探す妙案かと思われが、実は試みはすぐに壁に突き当たった。アプリのAIが人間でないことを見抜き、アカウントがブロックされてしまったのだ。広告としての利用はそもそも、規約で禁止されている。

しかし保護団体がTinderに状況を説明すると、同社は理解を示した。ブロックを解除し、里親探しの広告配信までオファーしたという。保護団体はウサギ、鳥、キツネなど、1000匹以上の動物に居場所を提供するシェルターとなっている。興味を持ってアプリでマッチングした人々は実際に飼育場所を訪れ、他の動物たちとも対面し、気に入れば新たなパートナーとして迎え入れることができる。

保護団体職員はドイチェ・ヴェレに対し、「私たちはまたこのキャンペーンを通じ、棄てられた動物たちに関心を持ってもらいたいのです」と語っている。

独創的な取り組みにより新たなパートナーを見つける動物が出始めている一方、ペットシェルターの収容能力は依然として限界に近い。一度は見放された命を救うべく、動物保護団体の模索はつづく。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド、米相互関税27%の影響精査 アジア競合国よ

ビジネス

米人員削減、3月は60%急増 連邦職員解雇で=チャ

ワールド

訪米のロ特使、「関係改善阻む勢力存在」と指摘

ビジネス

イスラエルがシリア攻撃強化、暫定政権に警告 トルコ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 8
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中