ロックダウン生活支えたペットたち、いまや飼育放棄続々 英・独
ドイツでは、他人を噛むなど飼い犬の問題行動に耐えられなくなった人々からの相談が、飼育施設のもとに殺到している。ケルン南部に位置するある保護施設の代表は、相談の電話が通常の5倍のペースで鳴っていると訴える。
飼い主たちがブームのさなか購入した仔犬たちは、現在いっせいに思春期に差しかかっている。苦労してしつけを終えたはずが、再び指示を聞かなくなるケースが軒並み増えているという。保護施設の代表はドイチェ・ヴェレに対し、飼い主たち全員の忍耐力が高いわけではないと指摘する。「一度問題となれば、その動物に二度目のチャンスを与える人は限られています。」
犬以外に目を向けると、猫や小動物などのペットについては、必ずしもしつけ問題が原因で手放されているわけではないようだ。ただし、やはりコロナ禍の影響はある。飼い主の収入が不安定となることで餌代を捻出できなくなり、飼育を途中で諦めるケースが少なくない。
保護施設は奔走 マッチングアプリで里親探しも
ドイツの一部地域では、居場所を失った犬や猫などの里親探しに、デートアプリのTinderが活躍している。通常は人間同士が使うこのマッチングアプリに、ドイツ・ミュンヘンの動物保護団体は計14匹の犬と猫のプロファイルを登録した。
通常は相手候補のユーザーたちの写真が表示されるが、この取り組みによって人間に混じり、犬と猫の写真が表示される。興味を持ったユーザーがいずれかの動物とマッチングすると、ペットのアカウントを実際に管理している保護団体の職員とチャットができるしくみだ。
プロファイルの文章はユーモラスだ。パリと名付けられたある犬のプロファイルには、「一目惚れできるといいけれど。一夜限りの関係は望まない。知性と忠誠心があります。車に乗るのが好きで、前は少しだけギリシャに住んでいました」と、まるで人間のように略歴を語っている。
アイデアはミュンヘンの広告代理店が考案したものだ。愛情をもって引き受けてくれる新たな飼い主を探す妙案かと思われが、実は試みはすぐに壁に突き当たった。アプリのAIが人間でないことを見抜き、アカウントがブロックされてしまったのだ。広告としての利用はそもそも、規約で禁止されている。
しかし保護団体がTinderに状況を説明すると、同社は理解を示した。ブロックを解除し、里親探しの広告配信までオファーしたという。保護団体はウサギ、鳥、キツネなど、1000匹以上の動物に居場所を提供するシェルターとなっている。興味を持ってアプリでマッチングした人々は実際に飼育場所を訪れ、他の動物たちとも対面し、気に入れば新たなパートナーとして迎え入れることができる。
保護団体職員はドイチェ・ヴェレに対し、「私たちはまたこのキャンペーンを通じ、棄てられた動物たちに関心を持ってもらいたいのです」と語っている。
独創的な取り組みにより新たなパートナーを見つける動物が出始めている一方、ペットシェルターの収容能力は依然として限界に近い。一度は見放された命を救うべく、動物保護団体の模索はつづく。