韓国、新型コロナ重篤者過去最多に 防疫パス導入でPCR検査も混乱
ソウル市中区保健所のPCR検査所 撮影:佐々木和義
<韓国で新型コロナウイルスの感染が拡大している。重篤者・死者が過去最高となり、11月に始まった「ウィズ・コロナ」政策は1か月半で撤回することになった......>
韓国中央防疫対策本部は12月24日、1日の新型コロナウイルス新規感染者数が6919人増え(累計58万9978人)、重篤感染者は過去最多の1083人、前日22日の死者も109人で、感染症の発生以来はじめて100人を超えたと発表した。
韓国政府は21年11月1日、コロナ禍で深刻な打撃を受けている産業等の段階的な回復を図る「ウィズ・コロナ」を宣言して規制緩和を実施したが、感染者が急増。「ウィズ・コロナ」政策を実施から1か月半で撤回した。
「ウィズ・コロナ」政策1か月半で撤回
11月1日、韓国政府は段階的な回復を図る「ウィズ・コロナ」を宣言した。コロナ・ワクチンの接種完了率が75%、1回目接種率が80%に達したことを受けた措置だった。私的な集まりを首都圏は10人、非首都圏は12人に緩和したうえで、段階的に解除する方針を示し、飲食店等の営業時間制限を解除した。また、結婚式や葬式、各種イベント等の人数制限を緩和し、7月以降禁止されていたデモや集会も可能となった。
一方、11月10日頃から感染者が急増。同月16日には新規感染者が9月以来、2か月ぶりに3000人を超え、11月30日には5000人を突破した。1日あたりの新規感染者が3日連続で7000人を超えた12月16日、政府は「ウィズ・コロナ」を撤回した。
12月18日から1月2日までの私的な集まりを4人以下に制限し、飲食店やカフェ、カラオケなどは21時、学習塾や映画館、マッサージなどは22時に閉店することを義務付けた。
疾病管理庁は試験運用を行っていた「防疫パス」を12月13日から導入した。防疫パスはコロナ・ワクチンの2回目の接種を終えた人やPCR検査で陰性が確認された人、ワクチン接種対象外の人などに対して発行する証明書で、不特定者が利用する施設に入場する際、提示を義務付ける。飲食店やカフェなどを1人で利用するときは提示不要で、2人以上のグループは提示が義務付けられるが、導入初日の13日に通信障害が発生して、サーバに接続できない事態に陥った。
同庁は翌14日から運用を始めたが、アプリケーションの不具合からワクチン接種完了者の有効期間を接種後6か月以内とする措置を2週間延長して1月3日から実施することにした。
防疫パス導入で、PCR検査も混乱
PCR検査も混乱に陥っている。12月5日から11日の1週間にソウルで確認された感染者の64.9%がワクチン接種完了者だったことが明らかになるなど、不安を感じた人々が検査を受け、また、ワクチン接種を完了していない人もPCR検査で陰性が確認されると48時間有効の防疫パスが発行されることから、防疫パスの運用がはじまった12月14日から17日のPCR検査数が1日30万件近くにまで増加した。
韓国疾病管理庁は検査を効率化するため、オンライン問診を実施している。検査を受ける人たちは検査所に設置されたQRコードからサーバに接続して、名前や住所、携帯電話番号などを登録し、問診票に入力する。特段の症状がない人は、体温をチェックしたあと検査所に入って検査を受ける。検査結果は携帯電話にメッセージで送られる。