これさえ知ればフィギュア通! 北京五輪男子代表3選手の神演技をおさらいする
3選手ともメダルを獲得できる力を持つ(左から羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手) From Left:Massimo Pinca-REUTERS, Issei Kato-REUTERS, Ciro De Luca-REUTERS
<北京五輪でメダル獲得が期待される羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手──三者三様の魅力を彼らの代表的な過去の演技から解説する>
全日本フィギュアスケート選手権大会が26日に終了し、北京五輪の出場選手が決定しました。
日本に与えられている代表枠は、シングル男子3名、女子3名、ペア1組、アイスダンス1組です。男子は羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手、女子は坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手、ペアは木原龍一・三浦璃来組、アイスダンスは小松原美里・尊組が選出されました。特に男子代表の3名は、今年3月に行われた世界選手権で2位から4位を占めており、北京五輪での複数メダル獲得の期待もかかります。
フィギュアのシングル競技は、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2演技の合計点で競います。北京五輪をより深く楽しむために、今回は男子代表選手の今年のSPとFSの演技の見どころと、過去の代表的な名演技をご紹介します。
羽生結弦選手(27)──前人未到の偉業に挑戦する志の高さ
SP「序奏とロンド・カプリチオーソ」、FS「天と地と」
2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪の2大会連続金メダリスト。2018年には23歳の最年少で国民栄誉賞(個人)を受賞しています。細身で優美なスタイルを持ちながら、闘志を表に出して有言実行するアグレッシブさが魅力の選手です。
今季のSPは、サン・サーンス作曲のバイオリンと管弦楽の協奏曲を、ピアニストの清塚信也さんがアレンジにしたものです。振付は「羽生結弦らしさ、羽生結弦にしかできない表現」を目指したと言います。初披露となった全日本選手権では、いきなり今季世界最高得点をマークしました。とくに採点で10点満点を出した「音楽の解釈」、つまり音楽と演技の調和が見どころです。
いっぽうFSは、昨季に続きNHK大河ドラマのテーマ曲です。昨季との最も大きな違いは、冒頭に前人未到の「4回転半ジャンプ」を予定していること。全日本選手権の12/23の公式練習では片足で着氷するなど、試合での成功まであと一歩のところまできています。4回転半ジャンプは、難易度や危険性に比べて配点が低く「割りに合わないジャンプ」です。それでも世界初の偉業にチャレンジしたいという羽生選手の志の高さが注目ポイントです。
羽生選手を語る上で外せない3つの演技があります。
1つ目は2012年世界選手権(仏ニース)のFS「ロミオとジュリエット」です。SP7位と出遅れ、FSでも中盤で転倒するアクシデントがありながら、ジャンプ、スピン、ステップの要素を完璧にこなす迫真の演技でFS2位となり、銅メダルを獲得しました。世界中のフィギュアファンが羽生選手に注目するきっかけとなり、「ニース落ち」(ニース大会の演技で羽生選手の大ファンになること)という言葉が流行するほどのブームが起こりました。