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これさえ知ればフィギュア通! 北京五輪男子代表3選手の神演技をおさらいする

2021年12月30日(木)18時05分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)

2つ目は2018年平昌五輪FSの「SEIMEI」です。記者の前で「誰が(金メダルを)獲ろうが、僕も獲ります」と宣言し、足の怪我が完治しないまま覚悟を決めて臨んだ五輪。FSではミスはあったものの、体勢を崩したジャンプもこらえて、五輪連覇を果たします。

3つ目は2020年の四大陸選手権のSP「バラード第1番ト短調」、通称「バラ1」です。合計4シーズンで使用している羽生選手の代名詞とも言える曲で、この大会でルール改正後のSP歴代最高得点(111.82点)を獲得しました。スピードに乗った離氷と高さのあるジャンプ、しなやかで力強い音楽表現など、羽生選手らしさにあふれた演技を見ることができます。

宇野昌磨選手(24)──プログラムの難易度は世界屈指、最終盤のステップにも注目

SP「オーボエ・コンチェルト」、FS「ボレロ」

2018年平昌五輪の銀メダリスト。2016年に国際スケート連盟公認試合で世界初の4回転フリップを成功させ、ギネス世界記録に認定されました。重厚感のある抜群のスケーティング技術と身体を大きく使った表現に定評があり、謙虚ながら秘めた闘志を静かに燃やしている選手です。

今季のSPは、宇野選手と相性が良いと言われるクラシック曲です。振付師は、高橋大輔選手が銅メダルを獲得した2010年バンクーバー五輪のSP「eye」で名高い宮本賢二さん。冒頭に難易度の高い4回転フリップを飛び、足元だけでなく上半身でも繊細に音楽を表現しているところが見どころです。

いっぽうFSは、コーチで2006年トリノ五輪銀メダリストのステファン・ランビエールさんが振付しました。演技中の7本のジャンプは4回転が4種類5本、3回転半が2本という、世界屈指の難易度のプログラムです。「このワンシーズン通してこのプログラムを完成させたい。たとえどれだけ失敗して打ちのめされても、これをやりたい」と語る宇野選手。最終盤の渾身のステップも注目ポイントです。

宇野選手の代表的な演技を3つ、ご紹介します。

1つ目は2014年ジュニアグランプリファイナル(JGPF)のFS「ドンファン」です。小学生時代から活躍していた宇野選手ですが、3回転半ジャンプはなかなか習得できませんでした。このシーズンは3回転半に加えて4回転トゥループもマスター。さらに苦手なルッツジャンプも克服するなど飛躍の年となりました。JGPFでは当時のジュニア歴代最高得点を更新して優勝しました。

2つ目は2019年四大陸選手権のFS「月光」です。一カ月半前の全日本選手権では負傷しながらも三連覇しましたが、この試合の前に怪我が再発。優勝候補筆頭に挙げられながらSP4位となります。FSでは冒頭から鬼気迫る表情で次々と高難度ジャンプを成功。ほぼノーミスで演技を終えると膝から崩れ落ちました。ルール改正後のFS歴代最高得点を更新して、自身初のチャンピオンシップのタイトルを獲得しました。

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