中国潜水艦隊の脅威にパニクった周辺諸国が買いあさる軍備とは
China's Submarine Fleet Is Catching Up to U.S., Causing Partners to Panic
この改修においては、これらの潜水艦に核弾頭搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)をはじめ、対艦ミサイルや魚雷などの兵器を装備する計画だ。ジェネベルとスターンの報告書で推定されているように、「巨浪2A(JL-2A)」として知られる中国の最新型のSLBMは、射程距離が8600キロメートル近くで、アメリカ本土を射程に収めている。
中国の潜水艦隊には、もうひとつ重要な戦略的機能がある。その存在をほぼ検知されることなく水面下を航行する潜水艦は、遠くはインド洋で情報収集しながら任務を遂行するのにぴったりだ。また潜水艦隊は、南シナ海や東シナ海の微妙な海域における、中国政府の幅広い領有権主張を武力で補強する役割も果たし得る。9月には、中国のものとみられる潜水艦が日本の接続水域を航行し、日本側が哨戒機や護衛艦を出動させる事態が発生した。この水域の近くには、日本と中国が領有権を争う尖閣諸島がある。
アメリカやそのパートナー諸国が、中国が描く世界地図(中国が主張する領有権)を既成事実化させまいと抵抗するなか、潜水艦こそが鍵を握る最重要の資産だと中国は考えている。中国は潜水艦に最新鋭の監視装置を装備して「海中万里の長城」と称するものを構築し、南シナ海の広い範囲を監視することを目指している。
優れた偵察能力で知られるP8哨戒機の需要が増大する一因だ。
あらゆる脅威の対処に役立つP8哨戒機
コンバット・フリート誌の編集者であるエリック・ワートハイムは本誌に、「各国によるP8哨戒機の購入は、中国による海洋覇権の脅威が高まっていることの証であると同時に、P8の海上哨戒機としての機能が優れていることの証だと思う」と語り、さらにこう続けた。「P8哨戒機は実際に優れた潜水艦ハンターだが、ほかにもさまざまな海洋状況の把握や諜報偵察活動、対艦・対地作戦などの重要なミッションを遂行する上でも優れたツールだ」
ワートハイムは、P8哨戒機は並外れて汎用性が高い航空機だと説明した。「P8には高性能のレーダーや複数のセンサーが搭載されており、これらが潜水艦の追跡のみならず地上の目標物の追跡にも役立つ」と彼は指摘。「魚雷や巡航ミサイルなど幅広い兵器を搭載することも可能だ」
また彼は、P8哨戒機を導入している周辺地域の国々(オーストラリア、インド、ニュージーランドや韓国など)にとって「中国の潜水艦の脅威は確かに増している」が、同様に「中国の水上艦やその他の海軍資産の脅威も増している」とも指摘。「P8哨戒機は、海洋におけるあらゆる潜在的脅威の対処に役立つ、重要なツールだ」と述べた。
それに加えて、P8哨戒機は「平時の活動にもとても役立つし、人道支援や捜索・救助活動においてもきわめて有効な資産になり得る」とも彼は指摘した。