最新記事

行方不明

中国元高官告発で消息絶ったテニス選手から「私は無事」メール──信じるのはIOCだけ?

Olympic Committee Believes Peng Shuai is 'Safe,' WTA Demands Answers

2021年11月19日(金)18時02分
アリス・メスマー

投稿はすぐに削除されたが、この衝撃の告発文のスクリーンショットは、あっという間にインターネット上に広まった。この告発以降、彼女は消息不明となっており、身柄を拘束されているのではないかと危ぶむ声があがっていた。

張高麗は2018年に退職した後、公の場に姿を見せていない(中国政府の元高官は一般に退職後は公の場に姿を表すことはない)。現在の政府指導部との密接なつながりは確認されていない。

彭帥による今回の告発は、中国の大物政治家による性的暴行について行われた初めての告発だ。過去にも非営利組織や学術界、メディア界の著名人が告発された例はあったが、共産党の幹部や国営企業にまで及んだ例はなかった。

CGTNは問題のメールを中国ではアクセスが制限されたツイッター上で公開した。中国のソーシャルメディア上には投稿されておらず、メールの件は、中国のネット検閲システムであるグレートファイアウォールの内側では一切言及されていない。

不倫相手の妻がドアの見張り

だが中国の一部のインターネットユーザーは検閲を迂回し、このニュースをソーシャルメディア上の私的なグループ内で共有している。微博で閲覧制限された書き込みを読むことができる「Freeweibo.com」によれば、「彭帥」と「張高麗」は、17日に最も検索件数が多かったトピックのトップ10に入った。

これに対し、中国の検索サイト「捜狗」で彭帥の名前を検索すると、彼女のテニス選手としてのキャリアに関する記事のみがヒットする。彼女の微博のアカウントは、現在はコメントの書き込みができないようになっており、人々が彼女の微博のアカウントを検索しても、該当するアカウントはないという結果が表示されるようになっている。

彭帥は以前の投稿の中で、張高麗とテニスをした後に彼から性的暴行を受けたと述べ、その間、彼の妻がドアの見張りをしていたと主張した。また張高麗と最初に性的関係を持ったのは7年前で、その後、彼に好意を寄せていたことを明かした。また(性的暴行について)告発するのは難しいことも分かっていたとも述べた。

「私自身の存在以外に、証拠は何もない。録音も録画もしていない。ただねじ曲げられた私の現実の経験があるだけだ。私は石にぶち当たる卵のように、あるいは火に飛びいる蛾のように、自滅する覚悟で、あなたとの間にあった真実を明かす」と彼女は削除された投稿の中で述べていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中