アメリカ人男性の精子の質が低下している
American Men, Your Sperm Is Getting Worse and Scientists Don't Know Why
こちらの研究チームは対象の男性に、過去10年間に化学物質に接する状況があったかどうかを尋ねた。これらの男性から採取した精子サンプルに基づき、研究チームは、特に殺虫剤や溶剤に接する環境に身を置いていたことが、精子の性質の「大幅な変化」と関連していることを発見した。
「これらの物質の利用は、1940年代以降、工業および農業活動によって大幅に増加している(中略)。そしてアルゼンチンは、殺虫剤の一大消費国だ」と論文は指摘した。とはいえ論文は、この研究結果が、選択バイアスによってゆがめられている可能性も排除できない点も認めている。
一方、キャノンと同じくマウントサイナイ医科大学に所属する不妊治療の研究者シャナ・スワンは、環境汚染物質が精子数に与える影響について、以前から警告を発している。スワンは、2017年の発表時に大いに話題を呼んだ、男性の精子数についての研究の主著者でもある。
スワンは、2021年4月にオンラインメディアのサロンに掲載されたインタビューで、特にフタル酸エステルについて、精子に害を与えるおそれがあると警告した。これらの化学物質は、プラスチックの耐久性を増す目的で使われる。スワンによれば、食物に混入する殺虫剤や洗剤、あるいはシャワーカーテンなどの柔らかいプラスチック材料が使われた日用品を通じて、人間はこれらの化学物質にさらされているという。
スワンはさらに、「これらの化学物質はステロイドホルモンに直接働きかける」と指摘したが、この点についてはそこまで断定はできないとする他の研究結果もある。米疾病対策センター(CDC)は、「フタル酸エステルにさらされたことによる人間の健康への影響を評価するには、さらなる研究が必要」との見解を示している。
(翻訳:ガリレオ)
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