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アメリカ政治パウエル元米国務長官がコロナ感染で死去、湾岸戦争指揮
米国で黒人として初めて国務長官と軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたパウエル元国務長官が18日、死去した。写真はパウエル元国務長官。2020年8月撮影(2021年 ロイター)
米国で黒人として初めて国務長官と軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたパウエル元国務長官が18日、死去した。84歳だった。死因は新型コロナウイルス感染による合併症だった。家族がフェイスブックへの投稿で明らかにした。
家族によると、パウエル氏はワクチン接種を完全に済ませていた。
親しい友人によると、パウエル氏は多発性骨髄腫を患い、治療により症状が軽減・消失した「寛解」と呼ばれる状態だった。初期のパーキンソン病にもかかっていた。血液のがんである骨髄腫は人体の免疫機能を低下させ、新型コロナが重症化するリスクを高める。
パウエル氏はベトナム戦争に従軍し、負傷。87─89年にレーガン政権で国家安全保障問題担当補佐官を務め、ジョージ・ブッシュ(父)政権下の91年に統合参謀本部議長として湾岸戦争を指揮した。
その後、ブッシュ(子)元大統領の下では国務長官を務め、2003年2月5日に国連安全保障理事会で、イラクのフセイン政権が大量の化学・生物兵器を隠し持っており、世界に対する喫緊の脅威になっていると訴えた。
パウエル氏は後になって国連安保理で自身が主張した内容を振り返り、ブッシュ政権の他の当局者から提供された不正確でゆがめられた情報が多く含まれていたと認め、自身の経歴に一生残る「汚点」を残したと語った。
1996年に共和党から大統領選挙への出馬を検討したが、妻が身の安全に懸念を示したことで断念。2008年に黒人として初めて米大統領に当選した民主党のバラク・オバマ氏に対し党派を超えて支持を示した。
共和党の右傾化への懸念から、16年の大統領選でも民主党候補のクリントン氏を支持し、昨年の大統領選も共和党のトランプ氏は米国にとって危険な存在だと批判し、民主党候補のバイデン氏の支持に回った。
バイデン大統領は「大統領選でパウエル氏から受けた支持と、この国の魂のために共闘できたことに絶えず感謝している」とコメントした。
パウエル氏がコロナワクチンを接種していたことについては「非常に深刻な基礎疾患が2つあった。残念ながら(ワクチンは)効果を発揮しなかった」と述べ、国民に改めてワクチンを接種するよう呼び掛けた。
ホワイトハウスのサキ報道官は、ワクチン接種完了者の入院と死亡は「極めてまれ」だと指摘した。
ブッシュ(子)元大統領は声明で「多くの大統領がパウエル氏の助言と経験を頼りにしていた。大統領自由勲章を2度受賞するほど各大統領に愛されていた」と哀悼の意を表明。
英国のブレア元首相は、パウエル氏は自虐的なユーモアやスタッフへの優しさ、米国のために党派を超えて取り込む意欲を持っていたとし、「長年にわたり米国の軍事的、政治的リーダシップを発揮した偉大な人物だ。素晴らしい能力と誠実さを兼ね備え、非常に好感の持てる温かい人柄だった」と述べた。
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