株式インデックス投資、何が良いか──先進国株、新興国株、米国株と日本株、どれを選ぶ?
(4) コロナ・ショック直前から現在まで
2020年初に新型コロナウィルスの世界的な拡大に伴って各インデックスが暴落した(図表5:赤塗り部分)。その後各国による大規模な財政・金融対策が講じられたものの、感染再拡大と各種行動制限措置のため景気の回復ペースが緩やかであった。しかし、2020年秋以降、各国による継続的な財政支出や金融政策に加えて、ワクチン開発に対する期待が高まり、実際にワクチン接種が先進国を中心に開始されるとともに、企業業績が回復しはじめ、景気の見通しも明るくなってきている。
それでは、この期間について、2019年末の値を100として見てみよう。各株式インデックスが概ね2020年11月に2019年末を超える水準まで回復し、上昇傾向にある。
この期間に上昇幅が一番大きかったのはナスダック100で、最低値が88.8であり、下落幅が最も小さく、最終値も174.8と短期間ながらも大幅な上昇となった。
次にS&P500、MSCIコクサイ、MSCI World、MSCI ACWI、日経平均株価、ダウ平均株価、TOPIX、MSCI エマージング・マーケッツ(EM)の順で上昇幅が大きく、最終値は120~140台となっている。
他資産クラスのインデックスも見てみよう。国内債券のNOMURA-BPI(総合)は変動幅が小さかったが、若干の金利上昇もあって最終値は99.2と100を切っており、収益性は極めて低い。J-REITは株式インデックスより回復がやや遅く、2021年春頃に100に戻し、最終値は103.5となんとか100を上回った。
以上、4つの代表的な金融・経済危機前後の株式インデックスの推移を見てきたが、概ね、代表的な株式インデックスは経済危機による一時落ち込みが繰り返し生じるものの、そのショックを乗り越えて長期的に上昇してきたことが分かる。特に、米国および先進国株式インデックスは1990年以来長期に亘って上昇率が高い水準を維持していることが分かる。
一方で日本株式インデックスのTOPIXと日経平均株価はいまだに1989年末の最高値を超えていないため、日本バブル崩壊から見ると長期的な収益率が相対的に低い。しかし、2000年以降はアベノミクスを契機に量的・質的金融緩和政策などによって株高・円安が進んだことで、上昇率が高くなってきていることが分かる。
3――株価下落直前に100万円を投資した場合、その後どうなる?
実際に、上記の株式インデックスを使って長期投資をする場合はどうなるか?