株式インデックス投資、何が良いか──先進国株、新興国株、米国株と日本株、どれを選ぶ?
仮に100万円を日本バブル崩壊直前、ITバブル崩壊直前、リーマン・ショック直前、コロナ・ショック直前に一括投資し、2021年9月末まで保有していたら、100万円がいくらになったかを見てみよう。
投資する起点が異なると、最終残高も大きく変わる【図表6】。本稿で選択した株式インデックスは金融・経済危機直前に投資しても年率利回りが最終的にプラスであり、最終残高が元本100万円を大きく上回ることが分かる。
株式インデックスを詳しく見ると、米国株(ナスダック100、S&P500、ダウ平均)とMSCIシリーズ(MSCIコクサイ、MSCI World、MSCI ACWI)は4つの期間において6%以上の年率利回りがあり、総じてリターンが高かった。日本株式除きのMSCIコクサイの年率利回りは、日本株式を含むMSCI World、日本と新興国株式を含むMSCI ACWIの年率利回りを常に上回っている(図表1:構成銘柄参照)。MSCI エマージング・マーケッツ(EM)は年率利回りが最大11.2%、最小2%とリターンの変動幅が大きい。日本株式インデックスの年率利回りは日本バブル崩壊直前からスタートした場合は1%未満でほぼ横ばいで、ITバブル崩壊やリーマン・ショック直前から投資すると、年率利回りは3%~6%台に上昇するが、他の株式インデックスと比べて低い。ただ短期間ではあるが、コロナ・ショック直前から投資すると、米国株には多少見劣りするものの、年率利回りは10%台である。
比較のため、他資産クラスのインデックスも見てみよう。NOMURA-BPI(総合)はリーマン・ショック後からだと金利低下局面でもあるため、年率利回りが1.7%とプラスの収益だが、コロナ・ショック直前からだと短期間ではあるが、若干の金利上昇で年率利回りがマイナス0.4%と年間400円ほど損失が出る。今後の金利上昇リスクを考えると国内債券の公社債投信は元本割れの可能性が否定できず、投資対象としては当面お勧めできない。J-REITはリーマン・ショック直前からで年率利回りが2~3%台であるが、大半の株式インデックスより見劣りしている。
図表6から、金融・経済危機直前という非常に悪いタイミング(図表7:黄色の点A)で株式インデックスに投資を開始したとしても、長期保有をすると、元本100万円が大幅に増えることが多い。例えば、日本バブル崩壊直前の1990年年初にナスダック100に100万円投資し、2021年9月末まで31年9カ月持ち続けたとすると最終残高が5,967万円と60倍近くになっている。実際は各種コストがかかるので、多少はこれよりは少なくなるが、相対的に極めて大きな金額となっている。ITバブル崩壊直前の2000年3月にダウ平均株価に100万円投資し、21年6カ月持ち続けたとすると最終残高は563万円になっている。リーマン・ショック直前の2007年11月にナスダック100に100万円投資し、13年10カ月持ち続けたとすると、最終残高は730万円になっている。