次期ドイツ首相は中国よりアメリカを選ぶ?
Under Olaf Scholz, Germany May Have to Choose Between the U.S. and China
「しかし、誰がドイツを統治するとしても、冷戦や、冷戦に近い状況はドイツの経済的利益を損なう可能性がある。どの党も、過度に強硬な対中政策には同調はしたがらないだろう」
近年、メルケル元首相は激しく揺れ動く米中関係のなかでうまくバランスをとってきた。首相在任中に12回も中国を訪問しており、回数としては他のどのヨーロッパの指導者よりも多い。こと対中関係に関しては、メルケルの遺産が続くことをクンドナニは期待している。
それ以上に大切なことは、連立政権に加わった政党が、最終的に対中政策を含む多くの政策で妥協しひとつの結論に到達することだ、と付け加えた。
クンドナニによれば、SDPはCDUよりも中国に対してはるかに強硬ということはなく、もしかするとCDUよりも融和的かもしれない。ドイツと中国の関係の変化という点で最大の希望を与えてくれるのは緑の党だが、連立政権で緑の党がどの省庁を担当するにしても、対中政策は首相によって決定される、と彼は言う。
軍事と経済が重要
首相在任中、メルケルは中国の人権問題について公に声をあげることはあまりなかったが、その点はショルツの下でも変わらない可能性が高い、とクンドナニは見ている。
「ドイツには、人権問題については中国政府と内輪で交渉するという対中アプローチの伝統があって、それはゲルハルト・シュレーダーが首相だった時代(1998年~2005年)に遡る。ドイツの政治家はこのほうが効果的だと主張する。メルケルはこのことについてあまり語らなかったため、私はどちらにしても大きな変化は感じていない。ショルツがメルケルよりも率直に人権問題について語るとは期待していない」
ドイツの政治家が人権問題に関する発言はあったとしても「口先だけの言葉」になりがちで、中国とドイツの関係で「肝心なところ」は、軍事および経済的な問題だと、クンドナニは指摘する。
「ドイツの対中経済政策であれ、インド太平洋の安全保障に関する問題であれ、実際に問題になるのはどんな行動をとるかということだ。先日も、ドイツのフリゲート艦がオーストラリアに到着した。この手の行動を増やしていくのか、どのように行うのか、という問題に関しては、政権が変わってもたいした違いはないと思う」
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら